私がシンギングボウルを初めて見たのは、この仕事を始めて間もない頃、とある業者の事務所ででした。
その事務所は300年以上も前に造られた建物の中にあり、窓もない薄暗い部屋ではありましたが、その代わり外気温が40℃を超す酷暑季の5月でも、分厚い石の壁が熱を遮ってくれ、天井の扇風機の風だけで十分に涼しく感じられるというところでした。
そんな古ぼけた事務所の隅に、これまた古い陳列棚があり、そこに埃をかぶったシンギングボウルがあったのです。

初めて見たときは何かを入れる器だと思った。
もちろん初めはそれがシンギングボウルというものであるとは知りませんでした。ただ古い金属製の器くらいにしか思わず、それでいてやけに気になり眺めていたのですが、事務所のじいさんはそいつを手に取ると、木の棒でゆっくり器の周りをこすり始めたのです。
すると間もなく、どこからともなく「うぉ~ん」という何とも不思議な音が聞こえて来たではありませんか。
そうです、それはシンギングボウルの音色だったのです。薄暗い石造りの部屋に響くその音色は実に感動的なものでした。
シンギングボウルは木の棒でこすられることで全体が細かく振動し、それが共鳴となって音を発します。
私にはその波長がどのようなもので、人の体や精神にどう影響するのかなど難しいことはわかりません。
私はただ、その不思議な音にごく単純に感動してしまっただけなのです。

このでこぼこの地肌が手作り感満点ですこぶる良い。
シンギングボウルの大きさはさまざまです。手のひらに乗ってしまう小さなものから、持ち上げるのに難儀するような大きなものまであります。
またその形(デザイン)に関しましても、整ったフォルムのものや美しい模様を描いたものなど様々あるのですが、私は初めて出会った、表面にでこぼこと槌痕の残る素朴なシンギングボウルがとても気に入りました。あの質感がなんともたまらないのです。
ということで、当店のシンギングボウルはどれも飾らず気取らずのシンプルデザインのものばかりです。なのであまり難しいことは考えず、お気軽にお使いいただけることと思います。ぜひ次はあなたが鳴らせてみて下さい。
この商品は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。
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