アレッピーとクイロンを結ぶ定期観光船はケララ州が運航しています。
チケットに書かれたその名称は「GOVERMENT OF KERALA STATE WATER TRANSPORT DEPARTMENT」と、なかなかお堅いのですが、そこはやはり南インドということで、全体的にどことなくのんびりした感じで船は進められて行くのです。
私はこの橋を見た時、「おっ、もしやこの橋は・・・」とピンと来て、しげしげとそのたもと辺りに視線を這わせたのですが、はたしてそこにはたくさんのカモが飼われておりました。実はこの橋は、9年前にコーチンからはるばるオートリキシャで来た時に渡ったものなのです。
で、その時に橋の上からカモの養殖場を写真に撮ったりしたのでよく覚えているのです。(下の写真が当時撮ったものです)
ああ、あの時のこのカモ橋(仮名)を、今回は下から眺めているなんて、なんだか感慨深いなあ~
河岸はまた椰子の生い茂るのどかな風景になりました。
そんな河岸には細い道がつけられているらしく、その道を二人乗りをした少年の自転車が走って来るのが見えました。おそらく後ろに乗せているのは彼の弟なのでしょう。彼らの方でもこちら(私のことではなく、船のことですね)を意識しているらしく、少年は力の限りペダルを漕ぎ、船に追いつき追い越そうとしているようでしたが、その光景が実に微笑ましく、私は心の中で「がんばれ、がんばれ」と応援したのです。
ところが無情にも河岸の道は小さな水路に阻まれ直進が出来ず、少年の自転車はこちらに背を向け曲がって行ってしまいました。う~ん、残念。その少年が再び私の視界に現れた時、私は軽い感動を覚えました。
どうやら小川を渡る橋が少し内陸に入ったところにあったようで、つまり少年は迂回した道を通って再び勝負を挑んで来たのです。今度は少年が船を追い越すには充分な距離がありました。
ついに少年が船を追い越した時、後ろに乗っている彼の弟が両腕を天に突き上げ、ヨロコビを全身で表しました。私もなんだか我がことのように嬉しくなって、船の窓から半身を乗り出すと、右腕を何度も天に突き上げ、彼らの闘いぶりにエールを送ったのでありました。
やがて彼らは河岸の道から外れ、椰子の林の中に消えて行きました。
今度はもうもどって来ないようです。
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