ガイドブックによりますと、アレッピーとクイロンを結ぶ観光船は、シーズン中(8月~3月)は毎日運航、その他の時期は一日おきとのことでした。
私がアレッピーに着いたのはすでに4月7日でしたので、その情報が正しいとすると一日おきにしか運航はなく、タイミングが合わないとここにもう一泊するかバスで移動するかということになってしまいます。
そこで宿の主人に明日(4月8日)の運航状況を尋ねると、主人はこともなげに「明日の9時半にここ(フロント)に降りて来い」とだけ言うのです。
言われた通り翌朝9時半にフロントに降りて行きますと、そこにはひとりのじいさんが待っており、チェックアウトを済ませた私を先導して歩き始めました。どうやら道案内をしてくれるようです。船の乗り場は前日に下見をして知っていましたし、なんせ相手はお年寄りということで案内を断ろうと思ったのですが、じいさんは先に立ってどんどん歩いて行ってしまいますので、ここは黙って着いて行くことにしました。
じいさんは私をすでに桟橋に係留されていた船に案内し席に座らせると、「切符を買ってくるからここで待っておれ」と言うのです。
案内してもらった上に切符まで買ってもらわなくてもいいとも思ったのですが、おそらくじいさんも宿の主人に申し付けられてのことだと思い、言われるままに切符代の300ルピー(約600円)を手渡しました。
しばらくするとじいさんは切符を持って帰って来ました。見ればその切符にはちゃんと「300ルピー」と印刷されていましたので、じいさんはマージン目当てでもなかったようです。
そこで私はちょっと考えてからじいさんの手に30ルピー(約60円)を握らせました。
いつもならこんなケースでもそんなにあげないのですが、相手がお年寄りということと、おそらくはじいさんからしたら目ん玉の飛び出るくらい高い船賃を払える身分であるということが負い目になって、ちょっと奮発したのです。するとじいさんは本当にうれしそうな顔をしました。思ってもいなかった収入じゃ、というような顔をするのです。
私はその顔を見て、むむ・・・もしかしたら、地元の人が切符を買うと、いくらかのキックバックがもらえるのでは・・・と思ったのです。
なにしろこの船は観光用で(料金も高いため)地元の人はまず乗りませんし、それよりなによりまったくの無報酬でこれだけ気をまわしてくれるというのがそもそも不自然なのです。
まあ真意の程はいかにせよ、切符代は300ルピーで間違いないわけですし、じいさんは嬉しそうにしていますので、すべては丸く収まっているのでこれでいーのです。
とまあ、ちょっと前段が長くなりましたが、早めに桟橋に着いたため、私は一番前の席を確保することができました。ここなら存分に景色を満喫できることでしょう。
船は定刻の10時30分に出航しました。
クイロンの到着予定時刻は18時30分ですので、8時間ちょうどのクルーズになります。わくわく。出航してしばらくは狭い水路をゆっくり進んで行くことになりますが、進むにつれ次第に川幅(運河幅?)は広くなって行き、船もスピードを上げて行きます。
ここにはハウスボートがたくさん係留されています。なんだか昔少年サンデーに掲載されていた、アニマル・ワンという漫画を思い出してしまいます。
主人公の東一郎の家は船だったので、子どもの頃の私はその移動できる家がすごくうらやましく思ったものでした。
あー、ハウスボート、乗りてえ~
水路沿いには家が建ち並んでいるのですが、こんな風に庭先の石垣に座って釣り糸を垂らすおばあさんがいたりして、実にほのぼのとしたいい風景が続きます。しかしまあこのおばあさん、インドネシア雑貨でよく見かける、木彫りの釣りをする猫みたいでかわいいじゃありませんか。
惚れてまうやろぉ~!
そんな風にいろんなことを思いながら、まだまだ船旅は続くのであります。
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