アレッピーとクイロンとを結ぶ定期観光船の旅は続きます。
最前列の席に陣取り、窓の外に広がる南インドの風景を熱心に眺めては写真を撮る私に、操舵室から声が掛かりました。
声を掛けて来たのは操縦士の横に立つおっちゃんで、手招きで私を操舵室に誘うと、前方を指差し、
「見ろ、狭い運河に入るぞ」
と教えてくれました。
なるほど船は、先ほどまでの広い水路から脇道(脇水路?)へ反れ、狭い水路に入って行くところでした。船はガクンとスピードを落とし、慎重に進んで行きます。
そんな狭い水路なのに(狭いからこそ?)、こうして水遊びをする少年たちがいたりするので、船は警笛を鳴らしながら、注意深く横を通り過ぎて行かなければなりません。しかしまあこの少年たち、実にうらやましいものです。
日本じゃ市民プールだって100円や200円は取るっていうのに、この少年たちはタダで、しかも家のすぐ近くで、思う存分水遊びができるのです。
ここの家なんか、ホント、玄関先がすぐ水場なんですから、すごいじゃあないですか。ちなみに少年が持っている緑色のものは、大きなネギ・・・ではなく、バナナの木の先っちょの部分です。
こうしてなんでも遊びやおもちゃにしてしまう子どもって、実にすばらしいです。
すでにいくつもの橋をくぐり抜けて来たのですが、ここでは鉄道の下をくぐりました。こうした川下り(あるいは川上り)をするときは、詳しい地図を持っていると通り過ぎる橋から現在地がわかるのでとても楽しいです。
タイのアユタヤからチャオプラヤ河を下った時には、ちゃんとした地図を持っていたのでそれができ、なかなか楽しかったのですが、今回はこの界隈の詳しい地図を持っていません。実に残念です。
まっ、どうせインドで手に入る地図なんて、かなり大雑把なものが多いので、小さな橋など抜け落ちていて、途中でどれがどれだかわからなくなってしまうでしょうけどね。
水路の両側の椰子の林が途切れ、視界が開けたと思ったら水田地帯に出ました。水路わきには機械が置かれ、脱穀作業の真っ最中でした。
おそらく脱穀された稲(米)は、ここから船で運ばれるのでしょう。
そんな脱穀作業の向こうには緑に茂る水田もあったりして、ここは常に田植えが行われ、稲刈りが行われるという、恵まれた土地なのであります。
次第に両岸の椰子の木が増えて行き、田園風景が視界からすっかり消えてしまうと、あたりは「秘境のジャングル」みたいな風景になり、なんだか某テーマパークのジャングルを冒険するボートのアトラクションみたいになって参りました。はたしてこの先には、どんな冒険が待ち構えているのでしょう。
ワニとの闘い?ゴリラとの格闘?
いえいえ、きっとまた、しつこい客引きとのバトルなのでしょう。
でも今はそんなことは考えず、ひたすら南インドの自然に身も心も浸りきる私なのであります。
[dfads params=’groups=39&limit=1′]