この旅ではいろいろな街でお祭りに遭遇して来ました。
たとえばデリーでのホーリー、ウダイプールでのメーワール祭り、パナジ(ゴア)でのグッド・フライデー、トリチーでのシヴァ神の結婚祝いなどなど、実に幸運でした。
そしてここマハーバリプラムもお祭り期間の真っ最中だったようです。街角に貼られたポスターはすべてタミル語なのでまったく読めませんが、唯一わかる「2010年4月19日(原文:19.04.2010)」という日付とポスターの絵柄から、その日にお祭りの何か重要な儀式が行われるであろうことは理解できるのです。
しかし残念なことに、私がマハーバリプラムに入ったのは4月25日と、ポスターに書かれた日付を一週間近くも過ぎた頃でした。
それでもポスターに載っているのと同じもの(おそらく山車)が、バスターミナルの横に置かれていて、しかもその傘の部分にはきれいな布が張られ、その前にはお祝い事の時などに門口に立てられるバナナの木なども置いてありましたので、たぶんまだお祭りは続いているのだろうなあとは思っていたのです。ただ私はあまり積極的に「お祭りの風景を見よう!」とは思っていなかったので、ついぞこの山車が動いているところを目にすることはありませんでした。
ところがこれまた幸運なことに、バスターミナル近くの鉄道予約オフィスに行った帰りがけ、にぎやかなタイコの音とともに、なにやらこちらに近づいて来る一団と遭遇したのです。
それはお神輿でした。お神輿の一団は日本のもののように上下に激しく揺すったり、うねるように左右に移動しながら進むというようなことはせず、ただ黙々と足早にまっすぐ進んで来て私の目の前で止まりました。
ちょうどその位置が休憩場所になっていたのか、介添えの男たちがお神輿の下に丸太を入れてお神輿の支えとすると、担いで来た男たちはまったく文字通り「肩の荷が下りた」といった感じでほっと一息つきました。どうやらこのお神輿は相当に重いようです。だから歩き方も妙に余裕のないセカセカ歩きになってしまうのでしょう。
それが証拠に、一息入れた男たちは再びうんしょとお神輿を担いでセカセカと歩き出したのですが、それもつかの間、ほんの10mほど歩いただけでまた休憩に入ってしまうのです。
お神輿の目的地であろう寺院はすぐ目の前なのですが、私が見ていただけでも3回も休んでいましたので、神様というものはかくも大きく重い存在なのだなあということがよくわかったのでありました。
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