マハーバリプラムにある世界最大の石のレリーフは、一般的に「アルジュナの苦行」(片足で立つアバラ骨の浮き出た人がアルジュナです)と呼ばれています。アルジュナという人は古代叙事詩「マハーバーラタ」に登場する人で、またヒンドゥー教の聖典である「バガヴァッド・ギーター」ではクリシュナの対話者として登場します。
しかしこのレリーフ全体に描かれている主題は「ガンガーの降下」と呼ばれる神話(天にあったガンジス河が地上に降りて来る話)として解釈されていて、その神話にはアルジュナは登場しません。
はてはて?ちょっと不思議ではありますが、もしかしてこれは人気のある逸話をいろいろ組み合わせたものなのではないでしょうか。インド映画でも他の映画のワンシーンを思わせるもの(もちろん意図的なもので映画ファンなら見てすぐわかるようなもの)を差し挟んだりと、ファンサービスが旺盛な国ですので。
なのでこの巨大なレリーフには、それ以外にも他の神話から題材を採ったものがあるかもしれません。私は神話自体よく知らないので見てもわかりませんけど。
で、難しい神話は知らなくても、実にわかりやすいのがこの猫です。はい、アルジュナにならって修行をしております。
でもさすがにアルジュナには遠く及ばないようで、両足で立っております。
とまあ、こんなユーモアをわざわざ石を削って作って見せるなんざあ、やはりインド人はサービス精神が旺盛な人種なんだと思うのであります。
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