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ふらっとエレファンタ島:ムンバイ

         
  • 公開日:2010年8月10日
  • 最終更新日:2022年6月6日

世界遺産にも登録されているエレファンタ島へは、インド門の裏(陸地から見てです)の桟橋から出ている船に乗って行きます。私もせっかくムンバイまで来たのだから、エレファンタ島には行ってみようと思っていましたが、なにしろ夜行列車で今朝方ムンバイに到着したばかりで疲れていましたし、その上今日は日曜日ときて、インド門の前に観光客がわんさかいるのを見たら、「あっ、今日はやめとこ」となるじゃあありませんか。

と、そんな私の都合にはお構いなしに、エレファンタ島行きの船の客引きのじいさんが寄って来て、「エレファンタ島に行かないか」としきりに誘うので、「明日行くことにしているから」とさらっと断ると、なんとじいさんは「明日は月曜日だから休みだぞ」なんてことを言うわけですよ。
休みったってあーた、博物館や遊園地じゃあるまいし、島が休みになるわけないじゃあありませんか。
するとじいさんは「ほら、ここにちゃんと書いてあるだろ」と乗船券を見せるのですが、なるほどそこには確かに「EVERY MONDAY CAVES CLOSED」と書いてあります。エレファンタ島は岩を穿って造った石窟が見ものですので、その「CAVE」が閉まっていては島に行く甲斐がないというものです。

そこで私は、じゃあ今からちょっと行ってみますか、みたいな軽い気持ちで船に乗ったのでありました。

実は9年前にムンバイに来た時にはサイクロン(台風)の接近中で海が大荒れで、遣隋使でもない私はそんな危険を冒してまでエレファンタ島へ渡るなんてことはしなかったのです。(だいたい船が欠航していたかもしれませんが)

しかし今日は天気も良く、鏡のごときムンバイ湾(?)を船は快調に進んで行きます。快適快適るんるんるん♪
ところがエレファンタ島は私が思っていたよりはるかに遠く、なんと1時間もかかりました。海に長く突き出た桟橋に降り立つと、すでに観光ガイドがたくさん待ち構えていて、私のところにも一人の若者が近づいて来ました。
私は最初ガイドなんて雇うつもりはなかったのですが、そこはまあせっかくの世界遺産なので、たとえ英語のみのガイドでもいた方がなにかと理解も深まるかなと思い直し、若者の言い値の「350ルピー(約700円)」で案内してもらうことにしました。

さっそくガイドの後について、石窟までのゆるい坂道を登って行きました。しかしまあ坂を登るのはいいのですが、先に立ったガイドはかなり速いスピードでぐんぐん歩いて行ってしまいます。
これはここに限らず、たとえばタージ・マハルなどでもそうなのですが、ガイドは早いとこ仕事をこなして次の客をつかまえたいという思いからか、観光客側の「もっとゆっくり見たいわ」というニーズなどほとんど無視して、どんどん先に移動しようとすることが多いのです。

お陰さまで私の実力よりずっと早く頂上に到着することができました。さて、ここからがいよいよエレファンタ島の真髄である石窟見学になるわけですが、ここでもガイドはぱっぱぱっぱと説明をすると、私に写真を撮る間もほとんど与えずがんがん飛ばして行ってしまいます。ほら、こんなにすばらしいシヴァ神の石像だって、通り一遍の説明だけするとすぐに立ち去ろうとして、かつてここを造った人々の労力とそれにも勝る信仰心というものに思いを馳せる、なんてことはまったくできないのです。でもまあムンバイのこの季節(3月末)はすでに暑くて喉は渇くし、それになにより石ばかり見ても飽きてしまうしで、私もあまりじっくり見ようとは思いませんでしたけどね。

とまあ、そんなガイドのおかげであっという間にエレファンタ島の石窟を制覇することができ、ずいぶん早く飲み物にありつくことができました。はい、その飲み物というのはビールのことなのですが、ビールを飲もうと誘ったのはガイドの方でした。

私もまあお酒が大好きで、ちょっとでも飲めそうなチャンスがあれば逃さず飲んでしまうという人間なので他人のことは言えた義理ではないのですが、インド人も飲める(特にタダで)チャンスがあるとかなりガツガツ飲みますね。たとえば飛行機の中でとか。

でも基本的に普段あまり飲む機会がない生活をしているからか、総じてあまりお酒に強くないというのもまた事実のようで、この若いガイドも自分から「ビール飲みましょうよ」と言いだしたくせに、コップに一杯ちょっと飲んだだけで、もう目はこんな風にとろんとしてしまい、頭もふらふらして来ているのが見るからにわかるのです。時間はまだお昼をちょっと回ったくらいでしたので、島にはまだこれから船がどんどん到着するわけで、うまくすればもう2回くらいガイドの仕事ができるだろうにと思い、「そろそろまた桟橋に行った方がいいんじゃないの?」と私が言うと、ようやく席を立ったガイドではありましたが、その足取りは明らかにふらついていたのでありました。

そして私が桟橋に下りて行った時には、このガイドは他のガイドたちの後ろの方に佇み、赤い顔してなんとか立っているといった状態でしたので、おそらくこの日はもう仕事にはならなかったことでありましょう。せっかくかき入れ時の日曜日だったのにね。

【教訓】いくらタダでお酒が飲めても仕事をおろそかにしてしまっては、結果的には「損」ということになります。

私も充分気を付けたいと思います、はい。

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木彫りのガネーシャ