子どもの頃好きだった本に「ムスティックの冒険」というものがあったのですが、そのお話しの冒頭部分に「砂売りおじさん」なるものが登場します。いわく、「砂売りおじさんは、夜ごと子どもたちの目に砂を入れて眠りに付かせる」とかそんな話でした。
で、今アンバサダーの車中にいる私も、ものすごい睡魔に襲われて来たのであります。
なにしろ周りはずーと砂漠なのです。砂なら売るほどあるのです。これで眠くならないわけがありません。
ウトウト・・・
どれくらい意識を失っていたかはわかりませんが、目が覚めると車窓の景色が少し変わって来ていました。
薄ベージュ色の砂の大地は相変わらずなのですが、道端に人の姿をちらほらと見かけるようになり、すれ違う車もバイクやオートリキシャなどの短距離移動用車両の割合が多くなって来ました。これは人の生活圏に近づいて来たなによりの証拠です。
さらに車が進むにつれ、人を満載したバスやこぼれんばかりの荷物を積んだトラック、牛やラクダに牽かれてカポカポ走る荷車、そして自転車や徒歩で移動する人たちなどがどんどん増えて行き、いよいよビカネールの街に入ったことを確信させるのでした。時計を見ると午後2時少し前、ジャイプールを出発してから6時間弱、途中の休憩を差し引いて正味5時間ちょっとの行程でありました。これは私が想像していたよりだいぶ早い到着です。
ビカネールは市街中心部にあるジューナーガール城塞など、なかなか見所も多い街なのですが、今日はまずホテルで旅装を解き、しばしの休憩ののちに軽く市内観光などしようではないかと言うことになり、このままホテルへ直行することになった私たちなのであります。
*すべて2007年3月時点の情報です。
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