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2009年11月27日:パインズクラブ通信 第370号

         
  • 公開日:2022年8月18日
  • 最終更新日:2022年8月21日

先日私は、新宿花園神社の酉の市に行って参りました。

とは言っても、正確には「二の酉」のそのまた「前夜祭」というやつなのですが、そこしか休みの日に当たっていなかったので仕方ないのです。

そんなわけで去る11月23日勤労感謝の日に、電車にゴトゴト揺られて新宿へ行ったわけですが、1時間以上もかかるのです、最寄駅から新宿まで。
それだけの電車移動、みなさんならどうやって過ごします?

私はちょっと前(と言っても10年位前)なら読書をしたものです。
しかし今ではどうも小さな文字がうまく読めなくなってしまったのです。
そうです、レーガン、いえ、ローガンなのです。

では今ではどうやって時間を過ごすかといえば、もっぱら音楽を聴いているのです。
いやいやいや、さすがにカセットじゃないですよ。
それどころかCDやMDでもなく、MP3プレーヤーなのです。
あれはいいですね。小さなボディーなのにたくさん曲が入りますし、しかもパソコンから実に簡単に素早く曲を入れられますしね。

でも、自分で選んだ曲がもし外に漏れ聞こえてしまったら、恥ずかしいだろうなあって思う事がよくあります。

そのひとつが「いかにも」って感じの歌です。
たとえば今の季節だったらクリスマスソングでしょうか。
しかも中途半端に古い、

♪あんめはよふけすんぎぃん~にぃ、ゆきえんとかわんるんだろぉ~ん

とかが聞こえてきたら、「あっ、あの人今、新幹線のホームで女の子と待ち合わせているシーンを思い浮かべながら聴いてるぞ」などと、まるで人の心を見透かしたようなことを言われてしまうのです。

あぁそうだよ! 当たりだよ!

そこ行くとヘッドフォンから音を漏れ出させている人ってのは、よほど自分の選曲に自信があるんでしょうね。「これはとても良い曲だから、少しでも多くの人たちに聴かせてあげたい」って思っているのでしょう。

あー、そういえば私が高校生の頃、小田原の駅に通称「ハーモニカおじさん」という人がおりました。

小田原の駅は地方とはいえ、国鉄(当時)の東海道線や小田急線、箱根登山線や大雄山線、それに新幹線などが通っていてホームも多く、それなりに賑やかな駅でした。そしてそんなホームは地下の通路でつながっていて、ハーモニカおじさんはその地下通路を、ハーモニカを吹きながらよくふらふらと歩いていたものです。
ハーモニカというと童謡や唱歌、または懐かしのメロディーといったイメージがありますが、そのおじさんは当時流行っていた歌謡曲なども吹いていました。なにしろ月刊平凡や明星にオマケで付いていた歌本の切り抜きをかざしながら、吹き歩いていましたから。きっと周りのみんなに聴かせてあげたかったんだと思います、その曲を。

そんな小田原駅もずいぶん変わりました。
昔の地下通路はなくなり、今では駅事務所や店舗が入る大きな高架橋がそれに変わり、ずいぶんすっきりとしたきれいな駅になりました。

人間というものは実に勝手なもので、なくなってしまえばあの暗くてジメジメした感じの地下通路が妙に懐かしく思え、高校生にはちょっと不気味な存在であったハーモニカおじさんも、歌好きの好々爺に思えて来ます。

ああ、あのハーモニカおじさんはどこに行ってしまったのでしょうか。

もしかしたら、今はもう使われなくなってしまった小田原駅の地下通路で、今もハーモニカを吹きながらふらふら歩いているのでしょうか。

小田原駅で耳を澄ますと、ハーモニカの曲が漏れ聞こえて来るかもしれません。

ほら・・・

♪あんめはよふけすんぎぃん~にぃ、ゆきえんとかわんるんだろぉ~ん

えっ、あの新幹線のホームって、小田原駅?

のぞみ停まんないけど。ひかりもほとんど・・・はい。

といったところで今回はおしまい・・・

あっ、なんだか話がそれて、肝心の酉の市の話をするの忘れてた!

でもまあ、特に変わったこともなく、例年通りお手ごろ価格(700円也)の神社熊手を買って来ただけですので、やっぱりこれでおしまいと致します。

それではみなさま風邪などお召しにならぬよう、

次回まで、

ごきげんよう!

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