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2003年12月12日:パインズクラブ通信 第58号

         
  • 公開日:2022年8月8日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

寒いです・・・本当に・・・

東京でも今週に入ってからいよいよ寒くなって参りました。
すでに雪が降っている地域の方からすれば「そんなの寒いうちに入んない!」と怒られてしまうかもしれません。

でも、寒いです。

冬は風邪の季節です。
昨年はインフルエンザが流行しましたので、今年は早めに予防接種をしたという人も多いのではないでしょうか。

まあ予防接種も良いのですが、やはり普段からの健康管理が大切でしょう。睡眠をしっかり取って、うがいや手洗いの励行、外出時にはマスクの着用、そして乾布摩擦・・・
今回はずいぶんまともなことを言っております。

とにかく風邪は万病の元と申します。みなさん健康には充分ご留意され、この年末を乗り切って下さい。

さて、いろいろな方法で風邪を引かないように努力するのが良識ある人のやることです。ところがどうかすると、わざと風邪を引こうと努力する人もおります。今回はそんな人のお話です。

私は小学生の頃学校がきらいでした。(あっ、これじゃ私の話だってことがバレバレだな・・・)
どのくらい学校がきらいかというと、草むしりくらいきらいでした。または冬の夜中にトイレに起きるくらいきらいでした。

それは「もう絶対イヤ!あたし死んでもヤダからね!」というほどのものではないのですが、できることなら行きたくない、家で遊んでいたいと、そんなレベルの「きらい」だったのです。難しい言葉で言うと「わがまま」と言います。まあひとつの「心の病」とも言えるでしょう。

ところが私の親はそんな子供の心の病を察して、「学校行きたくなかったら行かなくてもいいのよ。今日はおうちでお菓子を食べながらテレビでも見ているといいわ」なんて言ってくれる優しい親ではありませんでした。おそらく私が「今日はなんだか学校行きたくないなぁ~」なんて言ったとしたら、「なに!そんなに学校がいやならやめちまえ!その代わり働けよ!」と怒鳴り、教科書やランドセル、はては勉強机まで窓から外にほうり出したことでしょう。(ここのところがあくまでも「推定」なのは、怖くてそんなこと絶対に言えなかったからです)

でも、そんな親でも本当の病気の時には学校を休ませてくれます。教科書も机も窓から捨てたりしません。それどころかリンゴをむいてくれたり、おかゆを作ってくれたりします。

ですから私が学校を休むという「夢」をかなえるには本当の病気にならなければならないのです。でも、どこかがすごく痛かったり苦しかったりするような病気はいやです。私の希望は、学校を休めて家でマンガやテレビを見ていられるという程度のものなのです。

それは小学校の6年生の晩秋でした。
それまでいろいろと休むための病気に関して研究を続けてきた結果、私は一番身近な病気「風邪」を引くことに決めました。そして実行に移したのです。やり方は至って簡単、お風呂に入った時によく温まらず、出る時に水で頭をぬらし、そのまま寝てしまうというものです。

季節はまだ冬ではありませんでしたが、この方法は結構寒くて大変な努力が必要でした。そんな努力をするくらいなら初めからおとなしく学校へ行けばいいようなものなのですが、私はこの方法を毎晩続けました。

すると数日後、私の努力は天に通じ見事に微熱を出すことに成功したのです。

「やった!熱が出たぞ!これで学校休めるぞ!」

私はこのことで、人生において「努力」というものがいかに大切であるか、また、念じ続ければ夢は必ずかなう、ということを知ったのです。

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

発熱のおかげで親の公認も取れ、大手を振って休めることになった私は布団の中で小躍りしました。でもあくまでも「病人」ですから本当に大きく手を振ったり、踊ったりはしません。おとなしく布団に入りなおし、まずは二度寝です。「二度寝」、なんていい響きなんでしょう。もぉ~、憧れの生活の始まりです!

しばらく惰眠・・・いえ、療養すると少し元気になってきたようです。そこで枕元にたくさんマンガを持って来て読み始めます。でも、所詮は自分の持っているマンガです。すでに何度も読んでしまっているので面白くありません。そこで起き出してテレビを見に茶の間へ行くのですが、こちらはあくまでも病人ですから苦しそうにしなければいけません。

「少し・・・お腹・・・が・・・すいた・・・よ」

と、もう遭難して凍死しそうなくらいの感じで母親に訴えます。

すると母親は「じゃあおかゆを作ってあげるから布団で待ってなさい」なんて言います。でもそれではいけません。それではテレビが見られないじゃないですか。なにしろ平日昼間のNHK教育テレビは結構おもしろい番組があるのです。特に自分の学年より1~2学年下向けの番組なんかすごく面白いのです。見ていてよく理解できるのです。テレビの中の「お友だち」がバカに見えて優越感に浸ることもできるのです。見逃すわけにはいきません。

「ぼ・・く・・・・ここで・・・まって・・・る・・・・」

なんて、言葉のよく話せないETのようなしゃべり方で母親に言います。すると母親は、「じゃあちゃんと暖かくしていなさいよ」なんて言うのです。

こうしてパジャマの上にはんてんをはおり、背中を丸めてテレビ鑑賞です。

「うふふ、みんなは今頃勉強させられているんだなあ、かわいそうに」

こうして私はテレビの中の「お友だち」が、妙に口を大きく開けてハッキリとしゃべるのをのんきにながめながら一日を過ごしていました。

そんな夢のような時間はあっという間に過ぎ、翌日私はまた灰色の学校生活に戻らなければなりませんでした。

教室に入るとさっそく友達が寄って来ました。

「昨日休んじゃったんだね」

なんだこいつは、わざわざそんなこと言いに来たのか?それとも私が休んだのがうらやましいのか?

そんなことを考えていると、その友達はさらにこんなことを言いました。

「昨日は写真を撮る日だったんだよ」

・・・・?

あっ! そうだった!

たしかに一昨日先生が言ってた・・・

「明日は卒業アルバム用の写真を撮りますので、休まないようにして下さい」

って・・・

何日か後、私は単独で写真を撮られました。校舎の壁をバックに撮影したのです。

そして卒業式の日教室で配られた卒業アルバムには、私の顔写真だけがクラスのみんなを見下ろす位置に焼付けらていました。四角く隔離されぽっかりと空に浮かんでいる私の写真は、そのクラスでの私の立場を如実に物語っているようで、なんとも情けないものになってしまったのです。

こういう話を人にすると、「あー、たいていクラスに一人はいるよね、そんなやつ」とよく言われます。

でも先日調べなおしてみました、小中学校の卒業アルバムを。小学校卒業時4クラス、中学校卒業時5クラスのものです。

いませんでした、そんなやつ・・・どこのクラスにも・・・

なんで・・・なんであの時・・・

「なんだそのくらいの熱!病気のうちにはいるか!学校行って来い!」

と怒鳴ってくれなかったんだろう・・・かあちゃん・・・

みなさん、何事も良く考えてから行動し、責任はちゃんと自分で持ちましょう。

それでは、また来週!

風邪、引くなよ!

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