暦の上では・・・
「暑さ寒さも彼岸まで」なんてことを申します。
本当にそうでした。
彼岸の入りあたりからとても涼しく・・・いえ、寒くなった関東地方です。
皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか?
まさか桜など咲いていないでしょうね。
とにかく急に寒くなったものですから、寝るときの格好が一転しました。これは昨年のメルマガにも書いたのですが、私はパジャマを持っていないので夏場は「Tシャツと短パン」、冬場は「スウェットスーツの上下」で寝ます。
例年ですと秋口や春先にはどちらの格好で寝るか大変苦労をするところなのですが、今年は中間がまったくいらない、私にとっては誠に好都合の陽気になりました。
こう涼しくなりますと、布団のぬくもりがとても心地よく感じます。朝などだんだん起きるのが辛くなる季節です。
先日、暗いうちに目が覚めました。(とは言っても私は毎日暗いうちに起き出す のですが)実はトイレに行きたくなってしまったのです。毎晩寝る直前までビールを飲んでいるものですからトイレに行きたくなるのも無理からぬことなのですが、なんせ布団が心地よいですし、もしかしたらすぐに起きなければならない時間になるかもしれないので、ここでトイレに行くべきかちょっと迷いました。豆電球など点けて寝ないので、部屋は真っ暗で時計も見えません。でも、このまま尿意を我慢していたら、絶対熟睡はできないでしょう。
そこで意を決してトイレに行くことにしました。つまり「苦あれば楽あり」の道を選択したのです。この行為は人間の鑑と言えるでしょう。
とにかくトイレに行って用を足し、安眠を約束された布団へ再びもぐりこんだその瞬間です。
ジリリリリリリ・・・・
「なるほどね・・・そう来なすったか・・・」
さて、秋はいろいろなイベントがございますが、小学校や中学校では運動会の開催がピークを迎える時季でありましょう。
運動会というのは、足の速い者にとっては天国です。
その日は朝から張り切って、ピストルの合図でスタートを切り、スピード上げて風を切り、一番でゴールに駆け込みテープを切る・・・
・・・いいんでしょうか、そんなに切ってばかりで・・・
なんですか、足が速いくらい・・
そんな朱色で「賞」なんて書いてあるノートなんか欲しくないです、ぜんぜん。
こんな風に書くと「あっ、こいつ足が遅いんだ」などと悪口を言う人が必ずいます。
そんな人!
うるさいよ・・・
私だって速く走れるように努力はしたのです。
私が行った努力は、足に「へびいちご」を塗るというものでした。
「へびいちご」はそこら辺の草の中に生えているもので、人間には「食べられない」ということでした。かと言って、そのいちごをヘビが食べているのを見た人はいないようです。それならなぜ「へびいちご」なんでしょう?知っている人がいたら教えて下さい。
「へびいちごを足に塗ると早く走れる」と言うのは、その頃子どもたちの間で信じられていた話でした。なぜ足のない「へび」のいちごで足が速くなるのか疑問でしたが、とにかく足が真っ赤になるまで塗りました。すると足にいちごの液がついてスースーし、なんだか早く走れそうな気がするのです。
そんな努力を積み重ね、いよいよ本番の運動会がやって来たのです。
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
秋は「食欲の秋」とか言いまして、おいしいものがたくさん出回る季節でもあります。
また、高校や大学などでは文化祭や学園祭なども執り行われ、大変にぎやかな季節でも・・・・
えっ?「運動会の話の続き」ですか?
いいじゃないですか、そんなの。
分かってるでしょうが、あんな話の結末。つまんないですよ。
だいたいへびいちごを塗って足が速くなるなら、チータなんかがへびいちごを塗ったら、時速200Kmくらいで突っ走っちゃいます。怖いですよ、足の赤いチータなんて・・・
まあその程度の努力でしたから当然足が速くなるわけもなく、小学校時代の運動会は何一ついい思い出もなく過ぎて行ったのです。
さて、中学時代はどうだったかと言いますと・・・少しだけ救われました。
いえ、別に足が速くなったわけではありません。
当時中学校の運動会は平日に行われていたのです。つまり家族を始めとする部外者が来ないので、あまり恥をさらさずに済むというわけなのです。
そりゃあ運動会は相変わらず憂鬱でしたが、友達の間では誰が足が速くて誰が遅いかは、すで全員が知っていることなので、あらためて恥をかくことはないのです。
秋晴れの空の下、学校関係者だけで進められる運動会。
グラウンドのどこにもゴザは敷かれていません。
平日の静かな昼間、学校関係者だけで進められる運動会。
グラウンドのどこにも屋台は出ていません。
秩序正しく粛々と、学校関係者だけで進められる運動会。
グラウンドのどこにも家族の姿はありません。
そんな雰囲気の中で運動会は始まりました。
運動会は「選手入場」から始まります。「選手入場」とは言っても中学校の運動会です。なにも予選を勝ち抜いた屈強な選手たちが行進するわけではありません。ただ、全校生徒がクラスごとに列を作り、グラウンドを一周するだけなのです。入場しないのは「せんしゅ!にゅーじょー!」とマイクでしゃべっている生徒くらいのものです。まったくうらやましい境遇の人です。私も座っていたいものです。
さて、無事「選手入場」も終わり、全校生徒・・・もとい、全選手が所定の位置、つまりは通常の朝礼となんら変わらぬポジションについた頃でしょうか、生徒・・・もとい、選手の誰かが何かを発見したのです。
「おい、あそこ見てみろよ」
「あっ、なんだあ?」
そんなざわめきは瞬く間に生徒・・・もとい、選手の間に広がって行き、列の前の方にいた私のところにまで到達してきました。
「おいおい、あそこ見てみろよ」
そんな友達・・・もとい、選・・・え~い、面倒だな、もう何でもいいや!
とにかく私の後ろに立っていた選手が私にささやいたのです。
「あそこ、誰か来てるぜ・・・へへへ・・・」
私も後ろを振り向き、そちらを見てみました。
グラウンドの隅には桜の木が何本かあります。
その桜の木の下で、じっと選手団を見つめる人・・・
「げ!かあちゃん!・・・そ、それにとうちゃんまで・・・」
ここまで学校関係者だけで進められてきた秩序が崩れて行きました。厳粛な中で行われなければならないはずの「開会式」が、たった二人の闖入者のために・・・こんなにざわめいている・・・
ここは知らぬ顔の半兵衛を決め込むしかないでしょう。
しかしそう思ったのもつかの間、うちに遊びに来たことのある選手が・・・
「あっ、あれ、おまえんちのかあちゃんととうちゃんじゃないか?」
その情報も瞬く間に選手団に広がって行きました。恐るべし、口コミ・・・
みんなは口々に「あいつの親らしいぞ」とささやきあっています。
あー、あー、そうだよ・・・その通りだよ・・・
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、桜の木の下にいる二人の観客は、大選手団の中から特定の選手を探し出そうとしているようでした。
見つかってたまるか!選手を隠すには選手団の中が一番なんだ!
それにね、私は平日の昼間、仕事をほっぽり出して見に来るほど優秀な選手じゃないんだよ。
知ってんでしょうが!親なら!
【今日の一言】
「親思う心に勝る親心」
せめて一人で来ておくれ。
それでは今回はこの辺で失礼致します。
来週こそは「木曜」に配信したいと思います。
それでは、また来週!