ちょっと大きなバスターミナルにバスが停まると、必ず物売りが寄って来ます。売ってるものはすべて食べ物で、観光地じゃないので当然お土産物などはありません。
このバスターミナルでも、すでに何人もの物売りが私の前を通り過ぎて行きました。
しかし私は長い移動の時はトイレのことを考えて極力物を食べないようにしているので、そういった物を買うことはほとんどありません。
しかしこの時はおばちゃんがカゴに盛って売りに来たキュウリが実にうまそうに思え、ひとつ買うことにしました。まああと1時間ほどで目的地に着くという安心感もあったのでしょう。値段を聞くと3ルピー(約6円)とのことでした。
おばちゃんは手振りで「キュウリを切るか?」みたいなことを聞いて来ましたが、私は丸かじりしたかったのでそのままもらいました。するとそれを見ていた乗客のおっさんが、おばちゃんになにやら注文をつけました。
おばちゃんはちょっと笑いながら新たなキュウリを素早くギザギザ状に切ると、切り口に赤い粉をふりかけ、そいつを私に差し出して来ました。乗客のおっさんも「さあ、受け取れ」みたいなことを言っています。
もしかして3ルピーでキュウリ一本というのは高かったのでしょうか?
とにかくその乗客の助言でもう半分のキュウリを手に入れた私でしたが、あまりきれいとも思えないナイフが入れられ、しかも得体の知れない粉がふりかけてあるキュウリは、正直ありがた迷惑でした。でもそこはせっかくのご厚意ですので、笑顔で礼を言うとガブリと食べてみたわけですよ。
そしたら、
これがおいしいのです。
キュウリにふりかけられていた赤い粉はピリ辛の塩味といった感じなのですが、これがキュウリのみずみずしさとよく合って、本当においしいのです。
トウモロコシなども現地の人がやるように、塩とレモンをこすりつけて食べるとおいしいのですが、キュウリもやはり現地の人に倣って食べるのが一番おいしいんですねえ。
その分あとに食べた粉の付いていないそのまま丸ごとのキュウリの味は、なんとも物足りなくてあまりおいしく思えなくなってしまったのが、ちょっと残念であったのであります。
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