ハウスボートの滞在は、どこもおおよそ正午から翌日の午前9時までとなっているようです。
私は11時に来るようにと言われていましたが、まず待ち合わせ場所のお土産屋に立ち寄り、さらにビールの買い出しなどがあったため、結局乗船は11時50分頃となりました。
ハウスボート乗り場(というか係留場かな)には想像以上の数のハウスボートが並んでいました。
そんな中の一艘に案内され、舳先から板を渡しただけのあぶなっかしい仮設桟橋で乗り込みます。
ちなみに黒シャツのおっさんが、今回のハウスボートを手配してくれた業者です。ウエルカムドリンク(もちろんソフトドリンク)のサービスを受け、いよいよ出航です。
両サイドのハウスボートにぶつからないように注意しながら、船はゆっくり後退して行きます。とにかくどのハウスボートも同じようなスケジュールを組んでいるため、水路に出てもおびただしい数のハウスボートがいます。まるで出勤ラッシュのようです。水郷の風景を楽しみながらのゆったりした船旅を想像していたのに、いきなりボートレースのような様相を呈して来ました。
船は少しでも遅い船をどんどん追い抜いて行きます。
たいして広い水路ではないので、おそらく取り決めでこの水路は一方通行になっているのでしょう。その点ではインドのバスが公道で繰り広げるチキンレースよりはるかにマシと言えるでしょう。船は20分ほど走ると大きな湖に出ました。
さすがにここでは先ほどのようなハウスボートの密集は解けましたが、湖のそこかしこに船が浮かぶ光景は、さながらいにしえの合戦風景のようにも思えます。
とにかくまあ、これでようやくゆったりした船旅が始まりそうです。と思ってくつろいでいたら、5分もしないうちに船は岸に向かって進んで行き、お店らしき建物の前に接岸してしまいました。
船のスタッフが言うには、この店にはいろいろな食材が置いてあるから、もしよかったら夕食用に買って行くといいとのことなのです。
私としてはハウスボート滞在中は、乗ったら最後翌日の下船までそのまま乗ったきりで、ビールを飲みながら過ぎ行く景色をぼんやり眺め、ただただ怠惰にうだうだしていようと思っていたので実に余計なおせっかいなのです。でもまあ一応いい大人なので、やだ、絶対下りない、などとは言えず、とりあえず下船して店の人の差し出すバケツの中のエビなど眺めましたが、エビ一尾がなんと1500ルピー(約3000円)もするというのでとても買う気にはなれませんでした。なにしろそれじゃ仕入れた酒代より高いじゃないのよ。
しかしそこは日本人気質というか、なにも買わないのもなんだかなあ・・・ということで、ガラスケースの中に並んでいたポテトチップス(40ルピー/約80円)とピーナッツ(20ルピー/約40円)を買いました。ポテトチップスは買う前から、これはどうなのかなあと危惧してはいましたが、はたしてビニール袋の内側は油がベトベトであり、チップス自体もちょっとしけっていました。
でも思えば子供のころに食べたポテトチップスもこんな感じだったなあと、少しなつかしみながら口にしてみたのですが、やっぱりおいしくなく、すぐに食べるのをやめてしまいました。おそらくあの店で買い物をすると、そのうちのいくらかが客を連れて来たハウスボートスタッフの懐に入るのでしょう。ポテトチップスと豆しか買わない私を見るスタッフたちの視線が、心なしか少し険しいように感じられました。
そんなケチな客を乗せて再び走り出した船でしたが、またまたすぐに岸に着けられ、今度はロープでしっかりと係留されてしまいました。
どうやらここで船を停めて昼食の準備をするようです。昼食のメニューは、サンバル、インゲンの和え物、パイナップルの和え物、キャベツの和え物とスチームドライスにフライドパッパル。さらにメインディッシュとして、カレー味の魚のフライといったラインナップです。そしてこれ、苦労して手に入れたビールです。
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