「ジャイプールふたたび」
再びジャイプールです。
先日「風の宮殿」をご紹介したのですが、今回はその「本体」ともいうべき「シティーパレス」をご案内申し上げようというわけです。
この「シティーパレス」には今でも本物のマハラジャ(王様)が暮らしております。
いえ、「暮らしている」などという表現は王様の生活ぶりにはちょっとそぐわないですね。
それじゃあなんだか日々つつましく過ごしているような感じになっちゃいます。
やはりそこは王様ですから、少なくとも「毎日楽しく暮らしております」くらいは言っといた方がいいでしょう。
めでたしめでたし。
さて、そんな感じでわれわれは「王様」と聞くと、おとぎの国の話か、アイデア商品を売っているお店くらいしか想像できないのですが、ここジャイプールには本当にいるんですよ、これが。
王様っていうのは誰でもなれるわけではありません。
まあ現代では、昔みたいに大勢の家来とたくさんの臣民を従えるというわけにはいかないでしょうが、すくなくとも莫大なお金がなければ成り立たない職業です。
そこで(かどうかは本当は知りませんが)、このシティーパレスはその一部を一般開放して入場料収入を得ています。
2005年3月現在の外国人料金は180ルピー(500円弱)です。
この入場券は大きくて、左側の部分は絵葉書としても使えるようになっています。
でも今までにどれくらいの人がそれを有効に使ったのでしょうか。
ちょっと疑問にも感じます。
まあ絵葉書を出したかどうかはこの際置いといて、とにかく中に入ってみましょう。
どうです、すばらしい門じゃありませんか。
門の両側には白い大理石の大きな象も並んでいますね。
その門の入り口で、赤いターバンを巻いた門番がこちらに向かって何か言ってます。何でしょう?
えっ? もっと近くで写真を撮れって?
だめだめ、その手には乗りません。
この人たち、写真を撮らせといてお金を取るんですから。
マハラジャからもらうお給料が安いんでしょうかねえ。
さて、このシティーパレスで私が「一番の見物」と思うのがこの銀の大壺です。
これは今から100年ほど前のもので、当時のマハラジャが英国王室の戴冠式に招待された際、ガンジス河の水を入れて持って行ったというものです。
さすが王様です。
われわれですと、せいぜい海外旅行にペットボトルのミネラルウォーターを持って行くくらいですが、こんな大きな壺を、しかも銀で作らせて持って行くんですからスケールが違います。
いくら王様でも水が変わると下痢してしまったりするのでしょう。
「うっ、これがウワサのイギリス腹ってやつか・・・いたたたた」
とかなっちゃうんですね、はは。 (本当は沐浴用らしいです)
この壺はふたつありまして、その高さは約1.6mもあり、世界一の銀製品としてギネスブックにも登録されているようです。
表面はこのようにいつもきれいに磨き上げられていて、この百年間、いろいろな風景や出来事を、その体に映し出して来たのでありましょう。
そう、まるであの「おじいさんの時計」のように・・・
うれしい~ときも、かなしいときも、カビク~シ、カビ~ガンさあ~
えー、さて、それでは今はどんな風景を映し出しているかと申しますと、
ここでもやはり修復作業が行われておりました。
なんでもそうですが、「ものを持つ」というのは大変なことです。手に入れるときだけお金を出せばいいというものではありません。
マイホームだってそうです。やれトイが詰まっただの、カワラがずれただの、アンテナが曲がっただのと、次から次に修繕箇所が出てきて、お父さんは休日のたびに修理をしなければなりません。
ましてやここは大きな宮殿です。マイホームの管理とは桁外れの手間がかかります。
トイだって土管くらい太いでしょう。カワラだって一枚が八畳間くらいはあるでしょう。それからアンテナだって100本くらい立っているでしょう。
なにしろここは王様の住む宮殿ですから半端じゃないです。
なにしろ絵を描き直してるんですからもう芸術家の領域です。
色々な絵の具で忠実に修復して行き、また色鮮やかな絵がよみがえるわけですね。
でも今はこのおじさんの服が一番色鮮やかですね。
このシティーパレスの一般開放部分には、いくつかの博物館が含まれ、マハラジャのお宝の数々を見ることができます。
しかしそうした博物館の内部は撮影が厳しく禁止されていて、残念ながら皆さんにお見せすることができません。
そこで、撮影が許されている屋外展示品をご紹介することで、お茶を濁したいと思います。
私の子どもの頃の遊びで、一人が馬とびの馬のような格好をして、その突き出した尻に別のやつが「ドンケツ(尻を勢いよく後方に突き出す「攻撃」)」を食らわせ、馬のやつが踏ん張りきれずに足を動かしたら「負け」というのがありました。
そのドンケツを食らわせる時の掛け声が、「インドの大砲、どっか~ん!」だったのです。
こんなところにルーツがあったんですねぇ。しみじみ。
この他にもいろんな馬車が並んでいましたが、私は馬車マニアではないのでこれだけしか撮りませんでした。
もし馬車には目がないという人がいましたら、このシティーパレスの馬車ガレージに行かれることをお薦め致します。
そして写真を、バシャバシャ撮っちゃって下さい。 たはは!
さあ、それでは肝心の王様はどこにいるのでしょうか?
ええ、あそこには一般人は入ることができません。
とまあ駆け足でシティーパレスを見て来たわけですが、なんとこの1週間の間に2度も、日本の民放局の番組でこのシティーパレス並びに王様が紹介されました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
普段あまり映像が流れないインドが紹介されるということは、それはとてもいいことですし、私も楽しみにして拝見させて頂いたのでありました。