暦の上では・・・
各地に梅雨明け宣言が出されました。
そしてすでに多くの小学校や中学校、高校や大学、専門学校や各種学校、それからえーとえーと・・・
とにかく、
学校などでは夏休みに入ったようで、いよいよ夏本番なのであります。
「夏休み」
実にいいひびきじゃないですか。なんだかこう言葉がきらきらと輝いているようです。
言葉だけでなく、実際夏はそこらじゅうが光り輝く季節です。
海や川の水面がきらきら。
入道雲の先っちょがきらきら。
すいーっと飛び去るトンボの翅がきらきら。
道に落ちてるお金がきらきら。
拾ってみたら、なんだジュースの王冠かよ、むかむか。
捨てようと思って裏を見たら「500円」って書いてあるぞ、しめしめ。
店に持ってったら30年も前に終わってた企画だったぞ、めそめそ。
ありましたですね、昔そんな企画が。
それは昭和46年頃ペプシコーラがやってた企画で、王冠の裏のビニールをめくって、そこに金額が書いてあったら、お店でお金に替えてくれるというものでした。
最高額は500円でしたが、その頃の500円と言ったらなかなかの大金でした。さすがに家が建つような大金ではありませんが、少なくとも子どもにとっては大金でした。
そこでみんな一攫千金を夢見て、こぞってペプシコーラを買ったものです。しかしまあ、当たってもせいぜい10円とかそんなものでした。
対するコカコーラは、持ち前のブランドイメージを前面に押し出した「コカコーラ・グッズ」が当たるという応募式のキャンペーンをやっていました。
つまりはコカコーラの赤色と白のストライプをあしらった景品が当たるのですが、その中でもコカコーラの自動販売機型ラジオというのが一番人気だったと記憶しております。
それからセブンアップは、やはり王冠の裏にクローバーマークが印刷してあるものがあり、それを集めるともう1本もらえるというのをやっていました。
私はだいたいにおいてくじ運が悪く、ペプシのキャッシュもコカコーラ・グッズも当たらないのです。
そこで夏になるとジュースをケースで買う我が家の習慣にすがり、確率でくじ運のなさを埋めようと思い、母親に「ねえねえ、今年はコカコーラにしようよお、ねえねえ」とお願いしてみたりするのですが、昔気質の母親が選ぶのは、毎年決まって三ツ矢サイダーだったのであります。
いえ、私は何も三ツ矢サイダーを嫌ってるわけではないのです。
なのでもし、三ツ矢サイダーの関係者がこれを読んでも怒ってはいけません。
ただ、子どもは欲しいじゃないですかあ、景品があ。三ツ矢サイダーはそういう企画をやらなかったんですよお。
ところがそんな願いが通じたのか、三ツ矢サイダーもある夏、プレゼントキャンペーンを実施しました。
やった!
これで景品当たりまくりだぞ!
なにしろうちにはケースで三ツ矢サイダーがあるからな!
あー、三ツ矢サイダーにしててよかったあ!
などと、取らぬ狸の皮算用で喜んだのであります。
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
三ツ矢サイダーのプレゼント企画は、王冠を6個一口にして応募するというものでした。
景品は、
紙ヒコーキ
でした。
なんだ・・・がっかりだな・・・
現金とは言わないけどさあ、せめて三ツ矢サイダーの自動販売機型ラジオとかさあ、三ツ矢サイダーのハッピとかさあ、三ツ矢サイダーの手拭いとかさあ、そんなのが景品だったらよかったのになあ・・・
でもまあ、考えようによっては、そーゆー人気のなさそうな景品の方が当たりやすくていいかもね。なんにも当たらないよりは、紙ヒコーキでももらえた方がいいもんね。
その景品の紙ヒコーキというものは、動物の形をしたもので「ユカイダー」と名づけられておりました。ライオンやカバなどがカラフルな色紙で型抜きされており、簡単な組立式になっているものです。
そしてそういうちょっとセコい景品なので、皮算用少年の思惑通り当選者数はとても多く、なんと毎週1万名の人に当たる上に、そのキャンペーン期間は14週間にも及ぶものだったのです。
つまり、
延べ14万人もの人が当たるということです!
14万人ったらあーた、ちょっとした市くらいの規模ですよ。
その14万全市民が、手に手にユカイダーを持ってるってゆーことです。
しかも、ユカイダーは3種類がワンセットで当たるので、14万全市民が、その両手にひとつずつユカイダーを持ち、おまけに口にもくわえているということなのです。
さらに、口にくわえているのがシマウマかなにかのユカイダーだったら、それはもう全市民を巻き込んだ食物連鎖、野生の王国、弱肉強食、食うか食われるか、飲むか飲まれるか、飲んだら乗るなみたいな、そんな壮絶な地獄絵が繰り広げられるのです。
想像できますか?そんな光景を。
そして想像できますか?
三ツ矢サイダーをケース買いして、せっせと王冠を送った少年が、結局一度もユカイダーを手にすることなく大人になってしまったことを・・・
そして、
いまだにそのキャンペーン広告の載った新聞を、大切に保管し続けていることを・・・
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昭和48年8月2日毎日新聞
別冊「今週のテレビ」より(抜粋)
ユカイダープレゼント
飛べ飛べ動物たち
動物が空を飛ぶ。考案者は、福田繁雄先生。
組み立ては簡単なくせに、飛ぶこと、飛ぶこと。
さあ、あなたも。
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「さあ、あなたも」って・・・
福田先生!
ボクは14万市民に、まぜてもらえんのですか?
かつてユカイダーを当てた方からの、励ましのお便りをお待ちしております。
それでは、また来週!