ここはアーマダバード旧市街の繁華街です。向こうに見える三つのアーチの連なる石門「ティーン・ダルワーザー」が目印ですので、ちょっと離れた場所からここを目指すにも、オートリキシャのドライバーに「ティーン・ダルワーザーまで」と言えば確実にたどり着けるのです。
ここは食糧品から日用品、衣料品に装飾品など、まあ言ってみればアーマダバード市民の生活に必要なものがなんでもそろう商店街なのですが、正規の商店に加え露店や屋台もたくさん出ていて、毎日がお祭りのような賑わいです。
さて、そんな屋台の中には食べ物屋さんもあるのですが、実は今回私は「ある」食べ物の屋台を探しているのです。
くんくんくん・・・
おっ、これは近いぞ。
と、芳しい匂いに誘われてたどり着いたのがこの屋台です。はい、いい匂いの元はこのあんちゃんが串に刺した肉を焼いている匂いだったわけで、私は先ほどからまさしくこいつを探していたのであります!
ということで、あらためましてご説明申し上げますと、あんちゃんが焼いているのは焼き鳥ではなくマトンです。ここアーマダバードはイスラム教徒の多い街ですので、街のあちこちでこうしてマトンを焼いていたりするのであります。
しかし私は9年前ここに来た時かなりひどい下痢をしておりまして、こうしたものを一切食べることができなかったのです。匂いだけ嗅いで我慢していたのでありました。
そんな9年間あこがれ続けたものが今目の前にある・・・しかも山のようにたくさんある・・・
じゅる・・・
さっそくひとつ注文すると、あんちゃんはあらかじめ火を通してあった串焼きの山から4本を取り、もう一度火の上でチリチリ焼いてくれました。ああ、なんていい匂いなんだ。もうこれだけでご飯が三杯食べられそうだ。
しかしこのお店では、串焼きをそのまま食べさせるのではないのです。
ほら、こんな風に串から引き抜いたマトンと玉ねぎのスライスをパンに挟んでマトンバーガーにしてくれるのです。
これならご飯を炊かなくてもいいので、忙しいおかあさんには大助かりですね。味の方はと申しますと、特製のピリ辛ソースが絶妙にマトンとマッチしている上に、目の前で炭火で焼かれたということが加味し、そりゃあもう最高においしかったです。
しかも値段はこれでたったの10ルピー(約20円)なのですから、お小遣いの減ったおとうさんも大助かりですね。
私は屋台のあんちゃんが勧めてくれたベンチに腰掛け、9年越しのあこがれの味を噛みしめながら、「よし!明日もここで食べよう!」と心に誓い、そして実際そうしたのでありました。
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