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2001年6月1日:語源 / ゴア

         
  • 公開日:2001年6月1日
  • 最終更新日:2022年6月2日

インドな日々

2001/06/01 語源 パナジ

先日列車に乗った時、久しぶりにコーヒーを飲んだ。

朝、目覚めてまだベッドに横になっている時「コフィコフィコフィ」という声が聞こえた。
はじめは何を言っているのか分からなかったのだが、やがてそれが「コーヒーコーヒーコーヒー」と言っているのだと気が付いた。

物売りの掛け声は、その商うものの雰囲気を上手に出すものである。
たとえば有名なところで「いーしーやぁーきぃーも」というのがある。いかにもほくほくとしたサツマイモのようではないか。
他にも「さぁーおやーぁ、さおだけっ」と最初をぐーんと引っ張っておいて、語尾をスパッと切るのもある。
いかにも竹の子からぐんぐん健やかに伸びて、おまえも父さんの背を抜いたか、はっはっはっ、というところをスパッと切って売ってるように聞こえる。この人でなし。
後は「えー、チリガミ交換でございます」ってのがある。
これは特に関係ないのだが、昔「欽ちゃんのどこまでやるの」(略称:欽どこ、テレビ朝日系列)という番組で、斎藤清六扮するアナウンサーが「えー、村の時間のぉ時間でぇございます」とやっていたのを思い出した。懐かしい思い出である。

私はてっきりケチンボ列車のせめてものサービスかと思い、コフィ男を呼び止めた。
するとどうだ、5ルピーだと言うではないか。
なーんだサービスではないのか。
なんだ!5ルピーっぽっち!ただでくれたって減るもんでもなかろうに。

コーヒーはかなり白っぽく、味はとても甘く、早い話ミルクコーヒーの砂糖入りなのであった。
普段ブラックコーヒーを飲んでいる違いの分かるダバダーな私は不満であった。不満ではあったが当然全部飲んだ。なにしろ5ルピーもしたのだからな。

私はこの列車での体験から、インスタントコーヒーでも買おうと思い一軒の駄菓子屋のような店に行った。
そこでハタと気が付いた。ここではコーヒーなんか飲まないで紅茶にすべきなのだと。

福島県は加藤茶の国であるが、インドは紅茶の国なのだ。
ダージリンという有名な産地も抱えている。昔、沢田研二がそんな題名の歌を歌っていたのも思い出した。

しかし私はインドにお茶の道具を持って来ていない。茶釜ひとつ持っていないのだ。
持って来たのはコイルヒーターだけで、これは水を入れた容器に電熱線の仕込まれたコイル部分を入れ、コンセントに差し込めばお湯が沸くというすぐれものである。

コップはホテルのを使えばいいので、ティーバッグを買えば今日から私も英国紳士の仲間入りということになる。
ところがなんとその店ではティーバッグなどないと言うのだ。
しかたがないのでインスタントの粉紅茶を欲しいと言ってみた。紅茶の国ならそのくらいあるだろう。
するとどうだ、たちどころに目の前に二つの紅茶の包みが差し出された。
箱に入ったやつは高そうだったので、袋入りのやつを買ってホテルに戻った。

さっそくコイルヒーターとコップでお湯を沸かし、袋の中の顆粒を入れてみた。
しかし顆粒はお湯に溶けずに少しづつコップの底に沈んで行くではないか。

どうも私の考えていた「インスタント」とは違うらしい。おそらく紅茶の葉っぱを特殊加工してあり、「インスタント的に紅茶を入れられる」という程度のものなのであろう。

捨ててしまうのももったいないので、上澄みだけ注意深くすすることにした。
しかしやはり葉っぱが口の中へ入って来て、時々ぺっと吐き出す必要があった。

まったく 「カトちゃんペッ!」 である。

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