私は今、指定されたバスの乗り場で16時15分発のバスを待っています。現在時刻16時14分ですがバスが来る気配がまったくありません。
もちろんここはインドですから、日本みたいに時間に正確にとはいかないのはわかっていますが、いかんせん私は日本人なため、言われた集合時間よりかなり早くから来て待っているのです。気温はおそらく40度を超えているようで、日陰でじっとしていても汗が噴き出て喉も渇いて来ます。
喉が乾いたら水を飲めばいいじゃないかということですが、私は長距離移動の際はあまり飲み食いはしたくないのです。ちゃんとした食事だって昨日の午後3時に取ったのが最後で、あとは今朝バナナを2本食べただけなのです。なにしろ先日の長距離バスでもトイレのことでいろいろ大変だったわけですから・・・
しかし喉が渇いたなあ。
あー、もう我慢できない。ジュース飲みに行っちゃお・・・
結局バスは予定より25分遅れの16時40分の出発となりました。
このくらいの遅れはインドにしたら上出来と言えなくもありませんが、ここが始発だということを考えれば、なんで早めに来て待ってないんだよ！と言いたくもなるわけですよ、暑い中待ってる人間としてはね。
とにかくこれから約19時間は、このバスと運行乗務員のみなさんに私の今後の運命を委ねるわけですので、どうかひとつ、安全運転でやっておくんなせえ。
さて、このバスはこう見えて二階建ての構造になっています。
右側は二列の椅子席の上にダブル幅の寝台があり、通路を挟んだ左側は上下ともシングル幅の寝台という具合なのですが、私はバスターミナルのおっさんの「バスの寝台なんか揺れて眠れやしないぞ」の言葉を信じ、あえて椅子席にしました。
乗り心地はと言いますと、まあ頭上に寝台があるので多少圧迫感はありますが、左側が一人用の寝台ということで横一列には3人しかいないことになり、その分椅子の幅が広いようで楽に胡坐がかけてなかなか快適です。
これからこのバスが走る距離は約600kmです。
先日チェンナイからヴィシャカパトナムまで乗ったバスは約800kmを一晩で走り抜けましたが、それはほとんど高速道路のようなよく整備された道を走ったからであり、またバスもボルボ社製の高級バスだったからこそのことなのです。それに対してこのバスは、ボルボのバスとは違ってエアコンなど付いておらず、サスペンションも悪い上に通る道だって山道が予想されるのです。
それは600kmを19時間かけるという公式発表（バスのチケット屋のおっさん発表）を見ても、その道のりはまさしく平たんでないことは明らかであり、それはこの後次第にわかって行くのであります。
しかしボルボのバスが（ボラれて）1100ルピーだったのに対し、こちらは450ルピーとお安く、時間で割ればなんと一時間24ルピー（約48円）弱という本当に申し訳ない金額になるので、少しくらいのことは辛抱なのです。
とにかく席の下に荷物を突っ込んだら、
いよいよ出発です！
