2016年グジャラート再訪・第3回 / アシュラム急行

すでにアシュラム急行は3番線に入線していた。

そこで自分の乗り込む車両を見つけ、入り口に貼り出されている乗客名簿をチェックする。
乗客名簿でチェックするのはもちろん自分の名前と席番であるが、それだけでは素人である。
実はこの乗客名簿には氏名と席番のほかに、年齢や性別、乗車駅と降車駅などが記載されているのだ。
今の日本人からしたら個人情報の扱いが雑過ぎると思うかもしれないが、まあここはインドだし、私としてはそいつをじろじろと眺め、自分と相席になる人の情報を記憶しておくのである。

インドの列車の乗客名簿

乗客名簿の貼り出しはインド鉄道の名物といえるかもしれない。

14時55分、ようやくドアが開けられ乗客が乗り込み始める。
しかしデリー・ジャンクション駅から乗り込む人はそれほど多くなさそうで、お蔭でゆっくり車内の写真が撮れる。

私が乗るのはエアコン付の二等車(A/C 2nd)である。
インドでは今でも冷房は贅沢なので、二等と言ってもエアコン付車両は上級クラスであり、大きな駅にあるアッパークラスの乗客専用待合室なども利用できる。

インド国鉄の主要幹線は軌道幅1676mmの広軌なので車両幅も広い。
ちなみに日本の主な在来線が1067mm、新幹線のフル規格でも1435mmという軌道幅なので、それと比較するとインドの広軌がいかに広いかお分かりいただけると思う。
なので寝台は向い合せのもの(進行方向に対しヨコ向き)に加え、通路を挟んでタテ向きのものがある。

インドの列車内

エアコン付二等車の車内。縦方向のベッドは上下別々のカーテンがありプライベートが守られる。

私の席は向い合せ寝台の上段である。

席(寝台)の希望はチケットを取る際に出すことができる。
今回私はインターネットから自分でチケットを手配したのだが、あえて向い合せ席の上段を希望し、その通り取れたのであった。

ではなぜ上段にしたかと言うと、それは好きな時に寝られるからである。
なにしろ下段は昼間は椅子として使われるので自分専用ではないのである。
もちろん夜は自分専用のベッドとなるのだが、じゃあいったい「夜」とは何時からなのだろうか。
それはもちろん乗り合わせた人にもよるが、総じてインド人は夜型が多く、夕食を9時過ぎに食べ始めたり、いつまでも居座って(まあ椅子の時はその人の席でもあるのだが)動かないということがあるのだ。
それは疲れた体にはなかなかの生き地獄なのである。特に普段から朝型の私としては、最低でも9時には横になりたいのである!

インドの寝台列車

上段ベッドにも落下防止用の手すりは無いが、ベッドを吊り下げている二本の鎖(カバー付)があるので安心である。

15時22分、ほぼ定刻でアシュラム急行は出発した。

結局周りに誰も来ないままであったが、一つ目の駅で中学生くらいの息子を連れた夫婦が乗り込んで来た。
もちろん私の脳細胞には彼らがどこまで乗るのかインプットされている。それはジャイプルである。

ジャイプルはデリーから308km、到着予定時刻は20時25分である。
なので彼らは目的地まで椅子席のまま行くであろう。なにしろ5時間も乗らないし、そのほとんどが「昼」の時間帯なのだから。
私の脳細胞は素早くそう結論を導き出した。

しかし危ないところだった。もし私のベッドが下段だったらそれまで寝ることができないところだったのである。

ところがである、その家族はよほど疲れてでもいるのか、まず奥さんが向かいの下段にごろりと横になり、息子もさっさとその上段に上がって横になってしまった。
あとは私の横に座っているお父さんだけである。
お父さん、ちょっと困ったような顔で私をちらちら見てる。私もちょっと困ってお父さんを見る。
そこはやはり同じ人間同士、言葉を交わさなくてもちゃんと何が言いたいのかわかる。あんたも寝たいんだろ。

そこで私は本来の私のベッドである上段に上がることにした。まだ夕方の4時だけど・・・

あんたらはいい、今から寝てもせいぜい4時間くらいなのだ。
でも私は今から寝ると16時間近く寝てなきゃならないのだぞ。

インド人は総じて夜型?

誰がそんなことを言ったんだ。

*情報はすべて2016年11月時点のものです。

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