旅の始まりはデリーである。
まずはここからグジャラート州のアーマダバードを目指すのであるが、デリーからは900㎞以上も離れているので、忙しい現代人や日程に限りのある旅行者は飛行機で一気に移動するのが普通であろう。
しかし私は少し日程に余裕のある近代人なので、ここはやはり列車を利用することにする。
デリーとアーマダバード間はインド国鉄の誇るラージダニ特急が13時間45分で結んでいる。
デリーには主要駅が三つあり、行先や列車によってその三つの駅を使い分けているのだが、アーマダバード行のラージダニ特急はニューデリー駅から出発する。
そして私はニューデリー駅近くの宿に泊まっているので、そのラージダニ特急を利用するのが一番便利なのである。
しかし私はあえてオールドデリーにあるデリー・ジャンクション駅始発のアシュラム急行を選んだ。
な~んでか?
それは宿のチェックアウト時間が12時であり、ラージダニ特急の出発時間が19時55分だったからである。
いったいそれだけの時間、どこで何をしていればいいというのだ。ブラックでない会社の勤務時間と同じくらい長いんだぞ。会社をクビになったのを家族に言い出せず、毎朝どこぞに出勤していくお父さんの気持ちがよくわかる。
なので私はアシュラム急行にしたのである。
アシュラム急行はアーマダバードまで16時間20分かかる。その代り出発時間が15時20分と早い。
これなら本当はもっと働きたいんだけどなかなかシフトが入れてもらえない人の勤務時間くらいなのであっという間である。リストラの挙句バイトも一日3時間じゃ食べていけないよ!と憤るお父さんの気持ちがよくわかる。
ここがアシュラム急行の始発駅デリー・ジャンクション駅である。
ちなみにこの駅へはデリーメトロ(地下鉄)のチャンドニー・チョウク駅が最寄となる。
チャンドニー・チョウク駅からは地下道がデリー・ジャンクション駅の前まで続いていてなかなか便利なのだ。(下の写真は地下道を出たあたりから見る駅舎)
場所がオールドデリーのど真ん中ということで、ニューデリー駅より物騒と思う方もいるかもしれないが、外国人旅行者の多いニューデリー駅の方が旅行者をカモにしようとするやつらがいるので物騒なのだ。
でもまあ悪い奴はどこにでもいるので用心するのに越したことはない。
インドの列車はよく遅れると言われるが、こと始発駅ではまず時間通りの運行である。
ただし大きな駅ではセキュリティーチェックで時間を取られたり、列車のホームが変更になるなど不測の事態も想定し早めに行くのがいいのだ。
本場のインドの人たちはその辺の事情をよぉ~く知っているので、想像を絶するくらい駅に早く来て、床に座って延々と待ち続けたりしている。
もちろん私も一時間以上も前に駅に到着し、列車運行表示板でアシュラム急行の出発が3番線からであることを確かめ、ゆったりとした気分で跨線橋を上って行った。
ところが探せど探せど3番ホームが見つからないのである。
たくさんの線路とホームを見下ろす跨線橋を右往左往し、駅員らしき人に二度もたずね、ようやくたどり着いた3番線は他のホームと横並びの位置ではなく、丸々ホームひとつ分飛び出した位置、つまり別のホームを端まで歩いたその先にあったのである。
駅に着いてからホームにたどり着くまで30分もかかってしまった。東京だったら地下鉄の駅二つ分くらい歩いてしまったのではないだろうか。
やはり郷に入っては郷に従え、インドではインド人を見習って駅には早めに行くのがいいのだ。
*情報はすべて2016年11月時点のものです。
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