〔当時のメモより〕 *金額に関しては当時1ルピーが約2円だったので、ただ単に2倍にすれば円価になります。 2010年5月5日(水) ジャグダルプル 晴 30℃くらい 車に戻るとガイドは寝ていた。 車が走り出し、ガイドはまだどこかへ行くようなことを言っていたが、もうこのままホテルに帰るよう指示し、「お前は良いガイドじゃない。滝ではずっと電話してるし、質問には答えられない。これじゃ明日もダメだろ!」と叱りつける。 かなり不機嫌になって黙って座っていると、彼は彼なりに最善を尽くそうとしたらしく、そのままホテルへ帰らず民族博物館へ案内した。 これが幸いだった。ここならこちらの見たいものをはっきり示すことができる。 ホテルに着き、ドライバー氏とパテルに礼を言う。 夕食はビール5本(2人で)、ソーセージの缶詰、マトンマサラ、ナン、ホット&サワーチキンスープ |
【以下の解説は2013年3月1日のものです】
〔以下メモに解説を加えて〕
2010年5月5日(水) ジャグダルプル 晴 30℃くらい
車に戻るとガイドは寝ていた。 どうやら酒に酔ってしまったようだが、さすがにこの職務放棄には頭に来た。
おそらくパテルは昨夜は終夜勤務だったのだと思う。そしてそこに酒が入ったのでダウンしたのであろう。 しかしだからといってガイドの仕事をいい加減にされては困る。こちらも必死なのだ。
車が走り出し、ガイドはまだどこかへ行くようなことを言っていたが、もうこのままホテルに帰るよう指示し、「お前は良いガイドじゃない。滝ではずっと電話してるし、質問には答えられない。これじゃ明日もダメだろ!」と叱りつける。 なにしろ「ロストワックス」も知らないようなので、それでは明日どこへ行って何を見るのかもわからないだろう。
パテルのガイドとしての能力や態度は完全に落第であった。そしてこちらの「工芸品の制作現場を見る」という目的からしたら、今日は完全に空振りだった。 昨夜の打ち合わせではそのことをちゃんと伝えたはずだったのだが、パテルはこちらを普通の観光客程度にしか思っていなかったようである。舐めるなよ、パテル。
かなり不機嫌になって黙って座っていると、彼は彼なりに最善を尽くそうとしたらしく、そのままホテルへ帰らず民族博物館へ案内した。
もうすっかりパテルを見限り、明日からは別のガイドをつけてもらおうと思っていたので、もうパテルとなんか話してやんないのである。 と、そんな頑なな態度の私だったが、ほぼ強引に民族博物館に連れてこられてしまった。 メモには「(パテルも)最善を尽くし」と書いてあるが、その前にドライバー氏がなにやらパテルに耳打ちしているのを私は見ていた。なのでこれはドライバー氏の発案に違いないのである。
これが幸いだった。ここならこちらの見たいものをはっきり示すことができる。 しかし展示物の中になかなかそれが見つからない。 ようやく銀のイヤリングにその技法を見つけ、「これだ、これがロストワックスで作られたものだ」と教えることができた。 しかしガイドも資料館の職員も「ロストワックス」や「ドクラ」という言葉を知らないようだった。どうなっているのだろうか?
この地方にはいくつかの伝統工芸があるのだが、その中で特に私が見たいのは「ドクラ」と呼ばれるものである。ドクラは蝋と土で作った型に溶かした金属を流し込む鋳造法で、一般的には「ロストワックス(脱蝋法)」と呼ばれている。 この博物館にもその技法で作られたものがいくつも展示されたいたので、すっかり嬉しくなり機嫌を直したのだった。
ホテルに着き、ドライバー氏とパテルに礼を言う。 がんばれ!!パテル!!
「終わりよければすべて良し」である。なにより今日のモヤモヤを明日に引きずることなく、なお且つ明日からの活動に希望の光が見えて来たのが良い! メモにも思わずパテルへの激励が書き込まれていた。
夕食はビール5本(2人で)、ソーセージの缶詰、マトンマサラ、ナン、ホット&サワーチキンスープ
そして今夜もビールが飲める。本当に幸せである。 ちなみに「ソーセージの缶詰」というのは、ポンディチェリーの輸入食材屋で買ったものを非常用として持ち歩いていたのであるが、意外にもここの食事が良いので、邪魔だから食べてしまうのである。