湖岸のガートへ戻って来ると、さすがにドライバーは安心したような顔をしていました。なにしろまだお金を1ルピーも払っていないので、そりゃあ心配だったことでしょう。それではこのドライバーは、そんな乗り逃げされるリスクを冒してまでどこに行っていたかと言えば、学校の送迎の仕事をして来たとのことでした。
確かにインドではよく、小学校の終わる時間に校門前にたくさんのオートリキシャやサイクルリキシャが集まっている光景を見かけます。
私はちょっと興味を惹かれ、それがどのくらいの収入になるのかを聞いてみました。
ドライバーの話では、登下校の送迎で一人月500ルピー(約1000円)とのことでした。
でもそれだけじゃ今日の私たちのバダ・バーグ往復で200ルピーの方が割りがいいわけです。
実は学校の送迎は一人貸切ではなく、一度に10人もの子どもたちを乗せるのです。つまり500ルピーX10人で月に5000ルピーの稼ぎになるわけです。
ちなみに10人の子どもたちの乗車位置の内訳は、後部座席(本来ここだけが正規の客席ですね)に4人、その向かい側(これはただ運転席との仕切りに細い板を付けただけのものです)に4人、そして運転席の脇(つまりドライバーは中央からずれて座り、腰をくねらせた気色悪い座り方で運転することになります)に1人、さらにはドライバーとハンドルの間(その子は立ってることになります)に1人といった具合になります。
しかもこのドライバーは二校を掛け持ち(もしかしたら学校が二部制で、同じ学校の午前の部と午後の部かも)してしているとのことで、稼ぎはさらにその二倍の10000ルピー(約2万円)ということになり、これはなかなかすごい安定収入であり、物価の違いなどを考慮すると、私よりはるかに豊かな財政状況にあるであろうと推察されるのであります。
ねえ~、今日の200ルピー負けてくださらない?
そんなしっかり稼ぐドライバー氏(急に「氏」付けになりましたが)なので、当然性格もきっちりしており、貧乏人の私から容赦なく200ルピーを巻き上げ(まあ当たり前ですが)ましたが、それだけに信用できそうなお人柄と見込んで、明日もまたお願いしようと連絡先を書いてもらいました。明日は日曜日で学校の送迎もないとのこと、ドライバー氏にとっては仕事の空いた時の貸切仕事でかなり嬉しかったようです。
じゃあまた明日、ホテル・ジャイサル・パレスの前で会おう!
*情報はすべて2010年3月時点のものです。