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2005年9月30日:パインズクラブ通信 第170号

         
  • 公開日:2022年8月11日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

いよいよ10月です。

10月は全国の神様が出雲に集まってしまういうことで、神無月なんて言い方をします。

まあ神様が留守ということで、この時期の神社はなんとも無用心です。
お賽銭なしでお参りし放題です。
おみくじなんか引き放題で、木の枝に結び放題です。
入り口のところのお水なんかも飲み放題なのです。

まあそれでなくてもなにかと物騒なご時勢ですから、神社の方も防犯対策は充分とられていることと思います。

まず鳥居のところには赤外線センサーが網の目のように張り巡らされ、人が通ると上で寝ているハトがフンを落とす仕掛けになっています。
お水のところのヒシャクは鉄の鎖で繋がれ、あと少しのところで水に届かないようにしてあります。
おみくじを引くあの六角形の箱には鈴が付けられ、振るとしゃんしゃん音がして、宝塚歌劇団のフィナーレみたいになっています。
おみくじを結ぶ木の枝は、ぎりぎりおみくじを結べない太さのものを残して全部打ち払われています。
さらに賽銭箱は地下30mにまで掘り下げられており、ショベルカーなどで賽銭箱を壊しても、肝心のお賽銭は井戸のように深い地の底で盗れないようにしてあります。

そしてお社の中には、留守の神様に代わって留守番人形「犬神佐清」がゴムの仮面を被って座っているのでございます。こえ~。


さて、先週私は高熱と頭痛に襲われたおかげで鍋焼きうどんとスキヤキを食べることに成功したのですが、その後驚異の回復力を発揮して、たった一晩寝ただけで病魔を退散させてしまいました。

さらに関東地方では台風の影響もそれほどでもなく、日曜日には晴れ間さえ広がる天気になりました。

なので、楽しみにしていたお祭りに行くことができたというわけです。
もちろん、あの「懐かしのアイドル」も見て来ました。

その企画は正式には「青春のアイドル大集合」という、なんだかものすごい大げさなタイトルがついているものなのですが、出演はあいざき進也、大場久美子、伊丹幸雄の3人だけです。

しかしまあ入場無料のイベントですから、そこら辺はあまり文句を言ってはいけないのです。ここはおとなしく見させて頂くことに致しましょう。

「青春のアイドル大集合」は、お祭りのメイン会場になっている小学校のグランドの特設ステージで行われます。

お祭りのパンフレットを見ると、そのステージは5時から6時半までとなっていました。
ということは、1時間半のステージを3人でやるわけで、一人当たりの持ち時間は30分ということになるわけです。
はたしてそんな長い持ち時間に耐えられるだけの持ち歌があるのでしょうか。特に伊丹幸雄には過酷過ぎるのではないでしょうか。

ステージ開演までまだ6時間もあるという段階で、すでにそんな危惧が頭をよぎる私だったのです。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

そのお祭りは我が街が総力を挙げて行うお祭りで、開催期間の2日間はメイン会場の小学校を中心にその周辺の道路は車両通行止めにされ、そこにたくさんの露店が立ち並び、音楽パレードがブカブカ行進し、踊りの行列はくねくね通り過ぎ、飾り付けられたフロート車がヨタヨタ走り、交通整理の警官がぴっぴと笛を吹くという、それはそれはにぎやかなお祭りなのです。

そんなお祭りですから、毎年有名芸能人のステージなども開催されるのです。

ちなみに去年は・・・・

えーと・・・えーと・・・

ちょっと今すぐには思い出せませんが、とにかく誰か来ました。

それから20年くらい前にはエリマキトカゲも来ましたし、ウーパールーパーなんかも来ました。

とにかくこのお祭りは、普段ではなかなか見ることのできない珍しいものを見る絶好の機会なのであります。
あまり知らない芸能人でも、とりあえずは見に行くわけです。タダですし。

夕闇迫る5時5分前、私は「青春のアイドル大集合」の会場に到着しました。

楽しみにしていたんならもっと早く行けよ!とのお声もあるかもしれませんが、そこにはいろいろ事情があるのです。
確かにステージ前に並べられた折りたたみイスの数には制限がありますので、早く行かなければいい場所で見られないどころか、座れなくなってしまうわけです。

でも、実はそのステージではその直前までヒーロー戦隊ショーが繰り広げられていて、そんな中で場所取りのために最前列かなんかに座っていたら、ショーの途中で行われる悪者軍団への入団テストなんかに引っ張り出されてしまいます。
しかも入団テスト後に自分の席に戻ろうとしたら、そこには知らないちびっ子がちゃっかり座っていて、「おじちゃん、そんなところにボサッと立ってちゃステージが見えないじゃないかあ。はやくどこかに行ってよ」なんて言われてしまったらもう泣きそうです。

そんなトラブルを未然に防ぐために、私は時間ギリギリに到着するようにしたというわけなのです。

席はすでにほとんどがふさがっていました。

それでもちらほら空いてる席もありましたので近づいてみますと、空いてる席にも荷物が置いてあり誰か来るようです。

あきらめてイス席の後に立ち、あらためて会場を眺めますと、なんだかお年寄りが目に付きます。空いてる席に置いてある荷物も信玄袋みたいなものだったりして、どうやらお年寄りが大半のようです。

いえ、別に私はお年寄りが来ちゃいけないと言っているのではありません。

ただ、今回の「青春のアイドル」というのは、だいたい40過ぎくらいの年齢層にとっての「青春のアイドル」なわけで、つまりは見ていて面白いかいおばあちゃん?最後まで我慢して見られるかいおじいちゃん?ということなのです。

と、そんな観察をしているうちにステージにライトが点き、いよいよ「青春のアイドル大集合」が始まります!

最初にスポットライトを浴び登場したのは司会のおっさんでした。

おっさんは「私はアイドルではございませんよお」という面白くもなんともないことを言いながら登場し、これまたお世辞にも聞こえない「いやあ、この街はホントいいところですね。ぜひ私も住んでみたい」などと言い放ち、早くも会場に集まった6割のお年寄りを眠りの世界に誘い込もうとするのでした。

さらに司会者は、「それでは初めに、ご当地出身の歌手の方にご登場頂きましょう!」などと言うではありませんか。

えっ?

もしかして「青春のアイドル大集合」にも前座があるのか?
元アイドルのみなさん自体が前座っぽいのに?

ステージ中央には着物姿のおねえさんが進み出て演歌を歌いだしました。
大変申し訳ないのですが、名前も曲も知りません。
でもまあ、郷土出身の人ならぜひともがんばって頂きたいと思いつつ、ぱらぱらと拍手を送りました。

着物姿のおねえさんがステージの袖に引っ込むと、今度は別のおねえさんが出てきて、地元の地名がたくさん出て来る歌を歌い始めました。
どうやらこの方も郷土出身の歌手のようです。
でも、いくらこの街出身だからと言って、こんな地方都市のご当地ソングでは、いくらなんでも大ヒットは望めないのではなかろうかと、いらぬ心配などしてしまうのでありました。

ご当地ソングの次には、派手な黄色いジャケットを着たおっさんの登場です。
やはり郷土出身の歌手のようです。

そんなこんなで都合計5名のご当地出身歌手が入れ替わり立ち代り登場し、最後には全員がステージに並びました。
この後のステージはたった3人の元アイドルで「大集合」と謳っているのですが、それではこの郷土歌手5人のステージは何と銘打てばいいのでしょうか。私はその上の単位を知りません。


結局「青春のアイドル大集合」は5時半過ぎに始まりました。
これなら各自の持ち時間も少しで済み、伊丹幸雄にとっては願ってもない展開でしょう。

あらためてステージにスポットが当たり、ノリのいい曲に乗って登場したのは、ああ!あの懐かしの伊丹幸雄ではないですかあ!

伊丹幸雄は「どこへ行けば買えるのだろうか?」というような派手なデザインのテラテラ生地のシャツを着て軽やかにステップを踏み歌っています。

♪今夜はあ、帰さないぃ~

歌詞は忘れてしまいましたが、なんかそんなニュアンスの歌を歌い切った幸雄は、「みなさん!伊丹幸雄でーす!」と言いました。やはり本物です。

先ほどはお年寄りのことをあれこれ言ってしまいましたが、このステージの場合は若い人にとっても馴染みのない、ハッキリ言ってしまえば「えっ、誰それ?」みたいなことになっているようで、周りの若い人たちはイマイチ白けているようです。

そんな若い人に簡単に説明しておきますが、伊丹幸雄は郷ひろみと同じ頃にデビューしたアイドルで、デビュー曲の「青い麦」は結構売れたのです。
なのでデビュー当時は、郷ひろみと同じレベル、つまりはライバル関係にあったというすごい歌手なのですよ。

と、そんな説明をするまでもなく、ステージ上では幸雄が「では、ボクをみなさんに会わせてくれた曲、デビュー曲の『青い麦』を聴いて下さい」と、早くも最終兵器使用の決断をされたではありませんか。

なんと潔いのだ!サチオ!

♪あ~おいむ~ぎぃ~ばたぁ~けぇ~

何年ぶりに聴く「青い麦」だったでしょうか。
私を含め「その世代」の聴衆はきっとあの頃をありありと思い出していたことでしょう。普段あまり耳にしない曲だけに、その効果はバツグンでした。
そして聴衆の大半を占めるお年よりは、「ありゃ、この歌は『麦と兵隊』ではないのねえ」などと、さぞかしがっかりしたことでありましょう。

伊丹幸雄が桜の花の潔さでステージ袖に消えると、代わって登場したのは大場久美子でした。

今日来ている元アイドルの中では、大場久美子が現在もテレビなどでの露出が一番高く、それだけ知られた存在かと思います。

ほ~ら、私の左ナナメ前あたりに座ってたじいさんが、後の席の人を気遣いながらも腰を浮かせて大場久美子を一目見ようとしています。

お年寄りが多いとはいえ実際に多いのはおばあさんの方で、男は出不精なのか寿命が短いのか、この会場ではあまり目立ちません。
そんな中でシャッポをかぶり薄いジャンパーを着たそのじいさんは、初めからかなり私の目を惹いていたのです。
そのじいさんが辛い中腰の体勢を取りながら、遠く離れたステージ上の大場久美子を食い入るように見ているのです。
あんなじいさんに足をふるふるさせながらも中腰にさせるなんて、元アイドルのパワーは侮れません。

あっ、じいさん早くも腰を降ろした・・・

大場久美子は「一億人の妹」というキャッチフレーズでデビューしたのですが、見ればずいぶんお年をお召しになられました。
もっとも「一億人の妹のお兄さん」たちも同様に歳をとっているわけでして、そこら辺はアイドルでも一般庶民でもまあ等しく平等なわけです。

大場久美子はひとしきりトークをした後、「これから恐怖の時間が始まります」と自ら言い放ち、周りの者に突っ込ませない強行突破の姿勢で歌に突入するようです。

くどいようですが、大場久美子はそもそも「一億人の妹」というキャッチフレーズでデビューしたわけで、元々歌を歌うようにはプログラム設定されていなかったわけです。いわば大場久美子の歌は、非常食みたいなものなのです。あまりおいしさを要求してはいけないのです。同じことは松本伊予にも言えますので、どうぞご注意下さい。

さて、ステージ上では大場久美子がバトンをクルクル回しながら、コメットさんの歌を歌い始めました。

♪トゥインクルトゥインクル、コメェ~エットさん

おっ、先ほどのシャッポのじいさんが今度はビデオカメラを持ち出して、再び中腰の体勢に入りました。どうやらビデオで撮って家で何回も見ようと考えているようです。しかしあのじいさんビデオなんて持って来ていたとは。

シャッポのじいさんは懸命にビデオを回しているのですが、なんせ旧式のビデオカメラなので重量もそこそこありそうで、中腰の姿勢とあいまってとても辛そうです。

がんばれ!じいさん!その手で大場久美子の姿をとらえるのだ!

あっ、座っちゃった・・・・しかもまだ1番の途中だよ・・・

すげえ中途半端なビデオ映像になってしまいました。
帰ってから家族に怒られなきゃいいんですけどねえ。

さすがに大場久美子は堂々としたもので、さんざん非常食をばら撒きながらステージ袖に消えました。

そしていよいよ本日のトリを努めまするは、あいざき進也の登場です!

♪誰よりもぉ~、君のこっとぉ~

と、相変わらずの甘い声で歌います。

当時あいざき進也はその甘いマスクと歌声で若い女性(つまりは私の同級生とかですね)の心をわしづかみにしており、私としてはずいぶんねたましく思ったものです。まあ言わば私とは恋のライバルってとこでしょうか。

しかし寄る年月には逆らえず、腹は出て髪は減り、昔の面影今何処、なのは私の方ばっかりで、あいざき進也はシワこそ増えたものの、よくまああの歳であのスタイルを維持してるものだと感心させられたわけであります。

そのようにして夢のように過ぎていった1時間のステージでありましたが、最後にはステージ上に元アイドルの3人が「大集合」して、会場のみなさん(一部の世代の人たち)と「想い出の渚」を歌い、青春だけでなく夏までも思い起こさせる秋のひとときだったのであります。

ありがとう!元アイドルのみなさん!

いえ、あなた方は決して「元」などではなく、今でも立派にアイドルです!

今後の益々のご活躍をご祈念申し上げております。

おっと、神無月だと祈念してもムダかな・・・


今日はいつもよりだいぶ長く書いてしまいました。
でも芸能人を見た興奮が、ついつい長く書かせてしまったということがよくわかり、とても微笑ましいですね。なんだかかわいそうな気さえ致します。

さて、そろそろ仕事をお終いにして、TSUTAYAでアイドルのCDでも借りて
来ようかなっと・・・

では、また来週!

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