ラクダ隊商の隊長こと松本です。
その後いかがお過ごしでしょうか。
暦の上では・・・
大型連休も終わりました。
連休の最終日、テレビでUターンラッシュのニュースを見ておりましたら、成田空港でのインタビューで「インドに行って来ました」と答えている人がおりました。きっとこの連休中に観光でインドを訪れた人も多かったことでしょう。
ここのところインドはいろいろな形で日本のテレビに取り上げられています。
その内容はIT産業や医療分野での先進性、世界遺産やアーユルヴェーダなどの歴史的文化など様々ですが、中には女優さんが実際にインドに赴きレポートするといったものまでありますので、以前に比べてだいぶインドが身近に感じられるようになったのではないかと思います。
そして今年は「日印交流年」ということで、先日も「両国を訪れる観光客を倍増させよう」なんて話し合いもなされたようです。
さあ、どうですかあなたもインドに行かれては?
とは言え、インドであろうとどこであろうと、旅行は時間とお金がかかるわけですから、そう簡単にはいかないでしょう。
でも「いつかはきっとインドに行くぞ!」という目標を掲げたりなんかしますと、生活に張りというものが生まれ、なんだか楽しい気分になれるのではないかと思います。
さて、そんな気分になれるかどうかはわかりませんが、ビカネールの旅の話の続きです。
まずはあらすじからです。
【前回までのあらすじ】
ようやくたどり着いたビカネールのホテルでは急遽宿泊不能を言い渡され、30km離れた別のホテルに回されてしまった私たちは砂漠の道をひた走り、ついに目的のホテルへと続くわき道に進入して来たのでありました。
【あらすじおしまい】
車一台分の幅しかない舗装道路は砂漠の中を真っ直ぐに延びており、進むにつれて次第に本道から遠ざかって行くのが少々心細く思えました。
はたして本当にこの先にヘリテージホテルなどあるのでしょうか。
それでもしばらく走ると道の両側に小さな家が見え始め、子どもたちが道でクリケットに興じていたりなんかしています。どうやら人の生活圏に入って来たようです。
そんな小さな集落を抜けたところにホテルはありました。
車は赤い土壁の切れ目のような門から敷地内に進みます。
真っ直ぐに延びた道の両側は、よく手入れのされた庭になっています。
そんな道をゆっくりと進んで参りますともうひとつ門が現れ、そこを抜けて右手に折れるとホテルの正面玄関のようです。
アンバサダーは車寄せに静かに止まり、待ち構えていたドアマンが慇懃にドアを開け、私たちは慌ててけつまづいたりしないように、少し緊張しながら外に出ました。
そして、目の前に広がる光景に思わずその場に立ち尽くしてしまったのです。
「うわっ・・・すげっ・・・」
正面玄関は幅の広い15段ほどの石段の上にあるのですが、その石段の中央には、最上段から車寄せにかけて赤い絨毯が敷かれており、さらにその両側には、赤、黄、緑、白の4色の花びらを敷き詰めて作られたきれいな縁取りまでされているではありませんか。
ナント・・・コレハスゴイカンタイブリデハナイデスカ・・・
いやはや、ホテルの玄関を見ただけでこんな状態になってしまっては、先が思いやられます。
*このメルマガの後半に続きます。
〔 中略 〕
*前半からの続きです。
しばしの放心状態ののちドライバー氏を振り返ると、ドライバー氏はにっこり微笑んで、
「今夜あなたはマハラジャです」
などと言うのです。
おお!そうかそうか!
私はここではマハラジャなのか。
うむ、よきにはからえ。
これなら今日はもう観光などせず、ホテルライフ、いえ、マハラジャライフを満喫したほうが良いでしょう。
ドライバー氏にその旨を告げ、翌朝の予定だけ確認すると、私たちは赤い絨毯を踏みしめ石段を上って行きました。
石段を昇り切るとそこはレセプションになっていました。
中に入るとさっそくウェルカムの花輪が首に掛けられました。
本日二度目のウェルカムの花輪なのですが、考えてみれば先ほどのホテルでもらったものは、結局「ウェルカム」ではなかったわけです。
さあ、今度はどうなのでしょう。
さっそくフロントでチェックインの手続きです。
フロントの係員は今回の件を承知しており、「この度は大変申し訳ございませんでした」などと言いながら手続きを進めます。
しかしこれで安心してはいけません。なにしろここはインドなのです。口では「申し訳ございません」などと言いながら、しらばっくれて安い部屋に案内しないとも限らないのです。
そこで私は、
「カリニ・バワンのマネージャーから『スイートルーム』をリザーブしたと聞いているんだけど・・・」
とさりげなく、あくまでもさりげなく言い、更に念を押すために、
「部屋番号は・・・ああ、これこれ、『116号室』ね」
とあたかも大したことではないように、決してガツガツした貧乏人根性など微塵も感じさせないように、ボールペンで「#116」と書き込まれたパンフレットの表紙などを指し示し、「他の部屋にしたら承知しないかんな」という態度を示したのであります。
外国に行ったら自分の権利は自らの手で守らなければいけないのです!
はたしてレセプションの係員は、大きく「116」と浮き彫りにされた真鍮製プレートの付いた鍵を差し出しました。
「やった!116号室だ!スイートルームだ!」
さあ、いよいよこれから私たちは、ヘリテージホテルに記念すべき第一歩を踏み出すのであります。
つづく
はい、ついにホテルに着きました。
しかも結構立派そうなホテルで、さらに約束通りの116号室に入れるようです。
これは次回が楽しみです。
えっ?
他人がいい思いをする話なんてつまらない?
何か大変なことに巻き込まれてしまえ?
それはちょっとひどいですよ。
たまにはちょっと贅沢な気分に浸るのもいいではありませんか、ねえ。
いよいよ豪華マハラジャライフに突入する次回を待たれ!
それでは今回はこの辺で失礼致します。
また来週!