暦の上では・・・
立秋だそうです。
こんなに暑いのに・・・
みなさん、だまされてはいけません。
こんなに暑いのに秋なわけないじゃないですか。
お盆休みだってまだなんですよ。
絶対偽装表示してますよ。
私はだまされませんよぉー!
そんなわけで・・・
さあ!いよいよ夏本番です!
これからが「本番」ということは、まあ今までは練習だったわけです。
練習であれだけの暑さをぶりまいていましたので、本番はさぞかし暑くなるんでしょうね。もしかして50度くらい行ってしまうのではないでしょうか。
しかしすごいでしょうね、50度の世界って。
まずビーチサンダルなんかは、底のゴムが溶けてアスファルトにくっついちゃうでしょう。
それを防ぐためにはあらかじめビーチサンダルの底にビールやサイダーの王冠などを貼り付けておくといいですね。お早めにご準備下さい。
またプールの水も43度くらいの湯加減になってしまうでしょう。
監視員も気をきかせてプールに入浴剤を投入して白濁した温泉みたいにしてしまい、あわてた県知事が視察に来てもう大騒ぎです。
「すぐに入浴剤の使用をやめ、もとのなんとなくクリスタルな水にしなさい!」
なんて命令を下すでしょう。
そしてこれは深刻な問題なのですが、「熱中症」に気をつけなければいけません。
あ・れ・だ・け!
あれだけニュースなどに取り上げられているにもかかわらず、まーだ駐車場の車の中に子どもを置き去りにする親がいます。
「パチンコやって何が悪いんだよ! そーゆー意味じゃオレもパチンコに対して熱中症だぜ」
なんて言ってる場合じゃないんです。子どもの命が危ないんです!
あっ、そこで他人事みたいにのんきにしてる人、なにも熱中症は子どもやお年寄りだけではないのです。なにしろ今年の暑さは尋常じゃありませんから。
たとえば家族でテーマパーク「D」に行くとします。
行ったらいろんなアトラクションにも乗りたいし、パレードだって見たいです。
「じゃあパパは運転で疲れているから、パレードの場所取りしながら休んでてよ!」
なぁーんて言いながら、お父さんを炎天下の地面に敷いたレジャーシートの上に残し、奥さんと子どもは去って行きます。
まあお父さんも普段の仕事の疲れに加え、早朝から車を運転してここまで来たので、内心休めることが嬉しかったりします。
そこでレジャーシートの上に寝転がり、顔の上に帽子を載せて寝てしまいます。
ところが・・・いかんせん今年のこの暑さです。
直射日光とコンクリートの地面の輻射熱でそれはもうすさまじい暑さ。
しかしテーマパーク「D」では荷物だけでの場所取りを禁止しているため、ここを動くわけにはいきません。
一家の大黒柱としての名誉のために!
あれだけ今日のこの日を楽しみにしていた子どもたちのために!
そして、古女房から怒られないために・・・
とにかく、なんとしてもここから動かん!
お父さんんはそんなけなげな気持ちでがんばります。
家族が猛スピードで走る汽車やクマさんのお歌に夢中で、お父さんの存在すら忘れかけているというのに・・・
やがてお父さんの体力も限界に近づき、意識が朦朧としてきたそんなとき、向こうから何かが近づいて来る気配がしました。
やっとの思いでうっすらと開けたまぶたの向こうには、陽炎にゆらゆらと揺れながら近づいてくる一団が見えます。
あぁ・・・パレードだ・・・
ついに・・・パレードがやって来たんだ・・・
あぁ、そうだ・・・手を振らなきゃ・・・
その時現場に駆けつけた救急隊員は、衰弱しながらも自分の存在を知らせようと必死に手を振る、氏名年齢住所及び家族不明の40代男性の姿を見たのであります。(涙)
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
まあ私ひとりが「夏はこれからが本番!」などと息巻いていても、気象庁やテレビのお天気おねえさん、理科年表や神宮暦などが「あー、もう秋だからね、秋」と宣言してしまった以上は逆らえません。
そんなわけで「立秋」を宣告されてしまった今となっては、もう暑中見舞いのハガキなんて出せないのです。
ところが私はかつて、立秋過ぎのマヌケな暑中見舞いをたくさん出してしまったことがあります。
あれは、小学校生活最後の夏休みじゃった・・・
8月に入ったばかりのある日、いつものように家でだらだらごろごろと、金のかからないことが唯一の救いであるような日課をこなしていたとき、母親の声がしました。
「お前にハガキが来てるよ」
正月の年賀状以外で、私にハガキが来ることなんてまずありません。
なんだろうと思いながら、母親の手からそいつを受け取り見てみると、差出人はクラス委員もやっている頭のいい女の子でした。そして文面には・・・
「暑中お見舞い申し上げます」
と書いてあるではありませんか。
「お見舞い・・・ったってなあ・・・病気も怪我もしてないしなあ・・・」
私はこの世に生を受けて11年、そのようなハガキをもらったことがなかったので、何のことやらわかりません。「お見舞い」といえば、病院に入院している人のところに果物の入ったカゴなどを持って行くことくらいしか知らなかったのです。
そこで母親にそのハガキが何であるかを聞いてみました。
しかし母親は、「暑中見舞いだよ」と面倒くさそうに言うと、忙しそうに向こうに行ってしまいました。
そんな答えってないよな・・・「今日のご飯何?」って問いに対して「米」って答えてるみたいなもんだぞ・・・
しかたなく私は今度は姉に聞いてみることにしました。
ところが驚いたことに姉も、「暑中見舞いだよ」と、母親と同じことを言うではありませんか。さすが親子です。
しかし私は姉に執拗に食い下がり、「暑中見舞い」というものが何なのかを聞き出すことに成功したのです。
そうか、暑中見舞いというのは夏の年賀状みたいなものなのか。
さすが勉強の出来る子は違うな。若干小学生にして、もうそんなことまで知っているんだから。
しかし暑中見舞いの謎が解けたとはいえ、だからどうするということもなく、そのまま数日が過ぎて行ってしまいました。
すると母親が、この間もらったハガキに返事は出したのか?と聞いてきました。
なにしろ差出人はクラスでも評判の頭のいい子だったので、うちの母親もその子に粗相があってはいけないと気にしていたようです。
私はようやく重い腰を上げ、その子への返事と、まだ「暑中見舞い」を病気見舞いと勘違いしているであろう、数人の愚かな友達へハガキを出すことにしました。
文面は当然「暑中お見舞い申し上げます」にしました。
これは年賀状でいうところの「明けましておめでとう」に違いないからです。
じゃあ「今年もよろしく」にあたるところは何だろう?と思い、もう一度文面を見てみると・・・
「この葉書は暑中見舞いとしてはちょっと遅いかな」
と書いてありました。
なるほど、たぶんこの「ちょっと遅いかな」という謙遜が、暑中見舞い界の常識であり、決まり文句なんだな。
そう理解した私は、「暑中お見舞い申し上げます」と大書きした横に、「これは暑中見舞いとしては、ちょっと遅いかもな」と、少し語尾をアレンジして自分流をさりげなく出しながら、愚かな友達数人にハガキを書きました。あとは適当に夏らしい絵をちょこちょこと入れれば完成です。
こうして完成した「暑中見舞い」をポストに投函したのは8月も10日を過ぎた頃だったでしょうか・・・
数日すると律儀な友達から返事が来ました。
もちろん「暑中見舞い」のハガキです。
そのハガキを見ていると、横から姉が顔を出しこう言いました。
「あれ?今頃暑中見舞いなんかおかしいね」
えっ!と驚く私に姉が、
「立秋を過ぎたら残暑見舞いになるんだよ」
と!
と!
と、今更そんなことを言うではありませんか。
え~っ、そういうのはハガキを出す前に言ってくんないかなぁー!
嘆いてみたところで後の祭りです。
完全にその頭のいい子は私を見下しているはずです。
いえ、もしかしたら初めから私の「常識度」を試してみたのかもしれません。
そして彼女の「個人別能力表」の私の欄には、「やっぱりバカ」とか書かれているのでしょう。悔しいじゃありませんか、「やっぱり」っていうのが・・・
私はそのことですっかり落ち込んでしまったのですが、そんな私の落ち込みに追い討ちをかけるように、その後も愚かな友達からの「暑中見舞い」がぽつりぽつりと配達されるのでした。
ちなみに私は、かまやつひろしの「我が良き友よ」という歌の一節、
しょちゅぅ~うみまぁ~いが、かえぇ~てきたのぉ~は、あぁ~きだぁ~たぁ~
というのを聴くたびに、今でもその恥ずかしい話を想い出してしまいます。
それはまるで、夏の日の残照のように・・・
う~ん・・・あの頃「ざんしょう見舞い」って知ってたらなぁ~
さあ、みなさん!
いよいよこれから、残暑も本番です。
ビーチサンダルの裏に、ビールの王冠を貼り付けましたか?
それではみんなで、あの夕日に向かってかちゃかちゃ走って行きましょう!
残暑のばかやろぉ~!
それでは、今週はここまで。
また来週!