ジャグダルプルで迎えた3日目の朝、いつものようにフロントに下りて行くと、パテルがすまなそうな顔で近づいて来て、「ちょっと胃の調子が悪いので、今日はガイドなしで行ってもらえないでしょうか」と聞いて来ました。なるほどパテルは少し顔をゆがめ、若干猫背になって胃の辺りをかばっています。私が推測するにパテルの胃痛の原因は、初日に受けた叱責と昨日の高評価による胃の緊張度合の激しい変化によるものと思われ、またもしかしたら昨日携帯電話の電源を一日中切っていたために、ガールフレンドとの仲が危うくなってしまったという可能性も考えられなくもありませんでしたが、元々は自分のまいた種なので、私はそれに対しては特に罪の意識はないのです。
とにかくパテルが休むのはそれはまあ別にいいんですけど、じゃあ今までだっていなくても良かったんじゃない?・・・とはさすがに言えませんでした。
ということでこの日はドライバー氏がガイドもすることになり、パテルとの新たなバトルを期待していた方にははなはだ申し訳ありませんが、しばらくは平穏無事な観光案内が続くのであります。
まず最初に行ったのはジャグダルプル市内にあるヒンドゥー教寺院、ダンテソーリー・テンプルです。黄緑とピンクという何とも言えない配色で彩られた建物のアーチ部分は、車ごとくぐり抜けて行くことができます。
ガイド氏はよく気が利く男なのですが、一応「ガイド」を自認しているパテルとは違って英語は片言しか話せないので、お寺の入り口にあった黄色いライオンの像が非常に気になったのですが、残念ながらその由来などを聞くことはできませんでした。まあパテルにこのライオンのことを聞いたとしても、きっと見たそのまんま「ライオンです」と言うくらいしかできなかったと思いますけどね。
いつも寺院の内部に入るときは、はたして異教徒が入ってもいいのだろうか、ということが気になるわけですが、ドライバー氏がどんどん入って行ってしまうので、後に着いて入ってみました。
内部の天井からはたくさんの鐘が吊るされていました。
参拝に来た信者はそれを鳴らしてから正面にある祭壇に進み、お祈りをしているようです。ドライバー氏もそんな鐘の一つを鳴らして通り過ぎましたので、私も彼にならって軽く鳴らしてみました。
鐘はなかなかいい音色を出しましたが、周りの人たちが物珍しそうにこちらを見るので、一瞬「まずかったかな・・・」と緊張してしまいました。
ドライバー氏に促され、祭壇の前で見よう見まねのお祈りをすると、僧侶(もしかしたらお寺の世話人みたいな人かも)から、赤い花びらと白い丸いものをもらいました。
ドライバー氏に「これは何か?」と尋ねると、彼は赤い花びらを耳の上に挟み、白い丸いものを口に放り込みました。
今度もドライバー氏の真似をして、赤い花びらを耳に挟み込み、白い丸いものを恐る恐る口に入れると、それは金平糖のようなものだったらしく、ほのかな甘みが口の中いっぱいに広がって行ったのであります。
う~ん、平和だなあ。
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