マハーバリプラムは石の町です。
海岸寺院やファイブ・ラタも石で造られていましたが、この町には至る所に石屋があり、いつもノミで石を削る音が響き渡っているという現役バリバリ、マハーバリな石の町なのです。
で、そんな石の町には石関連の見どころがたくさんあるのですが、中でも「これぞ石の中の石!」と私が感動したのがこの石です。これは「クリシュナのバターボール」と呼ばれる石です。
クリシュナとはヒンドゥー教の神様のひとりで、ヴィシュヌ神の化身とされる神様なのですが、しばしばいたずら好きな子どもの姿で描かれる愛らしい神様です。
そんな神様の名が冠せられたこの巨大な石は、なんとも不安定な斜面(しかもその斜面も石です)に絶妙なバランスで静止しているのです。その昔、象を使ってこの石を動かそうとしたこともあったようですが、今でもこうして巨石は相変わらず斜面に鎮座しておりますので、その試みは失敗に終わったわけです。また象を使っても動かなかったこの石に、果敢に挑戦する観光客は跡を絶たず、毎日何十人、何百人(まではいかないか・・・)がこの石に両手をつき、その全身でもってなんとか転がり落そうとするのですがうまくいかず、転がり落そうとしているポーズの写真だけ撮って満足して帰る、というのが実情なのであります。
とにかく実に奇妙な石なのですが、他の石の観光スポットがとかく小難しいいわれや歴史がついて回るのに対し、このクリシュナのバターボールは見たままそのもの隠し事なんて一切ないわみたいな、実に簡単明瞭簡潔明白なところが私は妙に気に入ってしまったのであります。
で、普通の観光客が5分で飽きて立ち去ってしまうところを、私はマハーバリプラムに滞在した一週間の間、飽きもせず毎日毎日見に行ってはその都度感嘆し、その雄姿を写真に収めて参りましたので、みなさまにもこれからしばらくの間、この石をご覧頂こう! と力を込めて宣言しつつ、実際にそうしてしまうのです。
なので「こんな石、見たってしょーがねーよ」っつー人は、十話ほど先に飛んだあたりで、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております、なのです。
ではさっそく、「クリシュナのバターボール・第一景」と参りましょう。これは2010年4月26日(月)午前10時11分の写真です。
青空の下のバターボールで、その石の陰にヤギが休んでいるという、バターボールの写真としては基本中の基本の写真で、これからご紹介する一連のバターボール写真におきましても基準となる写真です。
それではまた次回をお楽しみに!
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