マハーバリプラムのどこともわからぬ街角でバスを降ろされ少々うろたえてしまいましたが、まずは近くのお店でコーラを飲んで気を落ち着かせ、とりあえず海の方向を教えてもらい適当に歩き出しました。歩いていればそのうちどこかランドマーク的なところに出るだろうと思ったのですが、なんといきなりマハーバリプラムの観光の目玉とも言える海岸寺院に出てしまいました。
海岸寺院は世界遺産にも登録されていて、私も滞在中にゆっくり来ようと思っていたところだったのですが、それがいきなり目の前に現れ(と言っても柵に阻まれはるか向こうの方ですが)、これまた少々うろたえてしまいましたが、お蔭で自分の今いる位置がはっきりわかり、ようやくこれで宿探しができるのであります。
海岸寺院のそばから裏路地に入りしばらく歩くと、ちらほらレストランやホテルが目につくようになって来ましたが、まずは外観をチェックしながら浜辺まで歩いてみることにしました。
そして浜辺に出る直前に目に入ったのが、ここ「New Papillon(ニュー・パピヨン)」でした。なぜここが目についたかと言えば、入り口付近に置かれたテーブルで西洋人が二人ビールを飲んでおり、彼らは私と目が合うと「宿を探してるならここがいいぞ」と声を掛けて来たのです。
私はそこで初めてそこが宿をやっていると知ったのですが、まあ試に部屋だけでも見せてもらうことにしました。
宿の主人に案内された二階の部屋は驚くほど広い部屋でした。
ドアを開けるとまず広いリビングルームが奥まで続いていて、突き当りにはベランダがあり(と言っても隣家が立ちふさがっていて海は見えませんが)、その右手にはベッドルーム、そしてその奥がシャワールーム兼トイレといった構造です。さらに驚いたのが、リビングルームの手前右手にはキッチンがあり、そこには冷蔵庫にオーブン、洗濯機まで設置されていたのです。どうやらこの部屋は、この建物の二階部分のすべてを占有しているようでした。
エアコンこそありませんでしたが、これで一泊600ルピー(約1200円)という格安物件だったので、即決しました。
屋上はレストランになっていました。
で、その屋上というのは三階部分にあたるのです。
そして一階部分は宿の主人とその家族の居住スペースになっているようですので、早い話がこの宿は私が泊まることにしたあの部屋しかないということなのです。
つまり先ほど下でビールを飲んでいた西洋人は、二人ともどこか別の宿に滞在しているということで、「この宿がいいぞ」という言葉はなんとも他人事な誘い文句だったというわけです。
でもまあたまには他に客がいない宿に泊まるというのも、それはそれで気が楽でいいかもしれません。
それにここのところ短い滞在で移動ばかり繰り返していたため体がかなり疲れていたので、こういう広々とした部屋でゆっくりくつろぐのも必要かもしれません。
ということで、なんとこの部屋に一週間も居続けることになってしまったのでありました。
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