カニャークマリはインド亜大陸最南端の街です。以前はコモリン岬という名前で呼ばれていましたので、「ああ、それなら知ってる」という人も多いかもしれません。
この緩やかに下っている道の先がその最南端の海です。そこはアラビア海とインド洋とベンガル湾という三つの海の交わるところで、ヒンドゥー教では重要な聖地のひとつとなっています。
聖地ということは巡礼者が訪れる所でありますが、「巡礼」というおごそかな雰囲気など微塵も感じられない旅行客、特に家族親族友人縁故などの大人数でわいわいやって来るグループなんかもたくさん見受けられます。
そしてそういう人がたくさん出る場所には、当然お土産屋などもたくさんあり、海辺の街らしく貝殻細工などが売られていたりするわけです。しかし今回9年ぶりにここを訪れた私は、そのお土産を扱う商店街の変貌ぶりに少々驚いてしまったのです。
それは「5ルピーショップ」や「20ルピーショップ」といった、まあ日本で言えば「100円ショップ」通称「ヒャッキン」のような店が乱立していたからなのです。5ルピーといえば約10円、20ルピーといえば約40円ですから、おそらく旅行に来て気持ちがおおらかになり、そして財布のひものゆるくなった人たちにとっては、いとも簡単に「子どもが欲しがるなら買ってあげようか」となる値段なんだと思います。
そんな「5キン」「20キン」の商品はといえば、ほとんどがプラスチック製のもので、まあ値段が値段ですから見るからに作りが安っぽく、色ばかりがカラフルなおもちゃや雑貨です。生活が豊かになって来たところに、こうして某国製の安い商品がなだれ込んで来れば、そりゃあインドの人たちは飛び付くでしょう。
そしてその結果、こんな最南端の聖地の商店街も軒並み均一化されてしまったわけです。私ももちろん、楽しそうに商品を選んでいるインド人や、おもちゃを買ってもらってうれしそうにしている子どもの顔を見ると、実に微笑ましい気持ちになるのですが、それと同時にそれらの大量のプラスチック製品が、やがてその役目を終えてゴミとなるときのことを考えると、かなり不安になるのです。
だってインド人ったら、まだゴミを平気でポイポイ捨ててしまう習慣が抜けておらず、プラスチックやビニール、ペットボトルなんてものがそこら中に散乱してたりするのです。
消費行動を止めることはできませんが、せめてゴミの分別を徹底して欲しいものだと、インド政府に切にお願いする次第であります。
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