ティーンダルワーザとは「三つの門」という意味である。
古い石造りの重厚な門に、アーチ型の三つの通路が抜けている。
ティーンダルワーザは旧市街のランドマークであり、その周辺にはたくさんの商店が立ち並び、本来通路もしくは広場である場所も露店や屋台で埋め尽くされる繁華街である。
しかし二年前(2014年)ここに来た時には、あるべきはずの露店や屋台がほとんど姿を消し、なんとも間の抜けた空間が広がっていた。
近くの店でコーラを飲みながらそのことを店主に尋ねると、現在大掛かりな整備が進められているとのことだった。
そして店主が指差す先には、工事への理解を求めるためのものと思われる「完成予想図」が掲げられていた。
実はここはその昔、スルタン(王様)の住むバドラ城から真っ直ぐに延びる道であり、ティーンダルワーザはスルタン一族のみが通ることのできる城への通用門だったのである。
なるほど、市はその頃の姿を甦らそうとしているのか・・・
それを聞いてあらためて広場を眺めれば、確かに完成予想図のような感じになっている。
あとは両脇に椰子の並木を作ればいいだけではないか。
個人的には以前の雑然とした露店街が好きだった。
屋台で飲む生ジュースもうまかったし、あちこちで焼かれる肉の匂いに誘われて食べた串焼きマトンの味も忘れられない。
それがもう味わえないのかと思うと実に淋しい気持であった。
そして今回(2016年ね)、はたしてティーンダルワーザ再開発計画はどのように推移したのであろうかと思いつつ、ホテルで旅装を解くやいなやここにやって来たのであった。
そしたら、
見事に元の姿に戻っていた。
さすがインドの自然回復力、形あるものをすべて土に返し、ピカピカのものを瞬く間に渋く変えてしまう。
さっそく以前食べた串焼きマトンの屋台を探す。
昨日の朝から何も食べていないのでさすがに腹が減ってめまいがする。
探し回ることしばし、ようやく以前食べたと思われる串焼き屋台を見つけたが、まだ準備中で炭の火も起こっていない。
仕方がないのですぐ隣にあったマトンカレーにした。なにしろ腹が減っているので待てないのだ。
マトンカレーは各種スパイスとともに角切りの羊肉を平鍋で煮込んだもので、パンにはさんでバーガーとして食べる。
なお、ここにはマトン(羊肉)と書いたがヤギ肉である可能性もある。まあ羊頭狗肉とは違ってどちらも似たようなものなので、そこはあまり気にしてはいけないのだ。
これでひとつ25ルピー(約40円)。
味はかなり辛いので、付け合わせの生タマネギとコーラ(すぐ近くの店で買って来る)で舌をなだめながら食べ進む。
実にうまいのだが、こんな食事では弱った胃腸はたまらない。
実際この後何日も下痢に悩まされ続けることになるのである。
でも、
下痢が怖くてマトンバーガーが食えるかってんでい!
*情報はすべて2016年11月時点のものです。
[dfads params=’groups=39&limit=1′]