ハウスボートは係留されてしまうともうただの家です。
しかも両サイドにぴったり他のハウスボートが停泊しているため景色も見えず、こうなるとあとは酒を飲むくらいしかありません。
スタッフの方ももう船を操縦することもないので、どんどん食事の用意をしてくれます。
で、夜のメニューはというと、またもや各種和え物とサンバル、チャパティとスチームドライス。そしてメインディッシュはカレーソースをからめたチキンです。
これでザッツ・オール!なのです。ためしにお皿に盛りつけてみるとこんな感じです。昼間連れて行かれた店で素直にエビを買っておけば、この空白をエビが満たしてくれたのでありましょう。
でもまあ今さらそんなことを言っても仕方ないのです。
まあ私にはビールがあるし、それからワインもあるので食事などどうでもいいのです。
ちなみにこのワインはインドを代表するスーラワインです。チキンを肴にビールを飲み、さらにワインを飲んでしばらくまったりしていたのですが、あまり長居をしているとスタッフたちが片づけられないので、残ったワインを持って寝室に引っ込むことにしました。
しかしせっかく大きな窓のある寝室だというのに、いかんせん目の前に隣のハウスボートがあるのでカーテンを閉めるしかありません。せっかくの水上生活なのになんとも味気ないのです。
11月のアレッピの夜は決して涼しくはなく、寝る時にはエアコンが必要なくらいですが、さすがに水のシャワーはつらいです。そこで私はタオルを濡らして体を拭くだけに留めました。朝は明るくなると同時にあちこちからエンジンの音がし始めました。
寝室を出てみると、早くも隣のハウスボートはどこかへ行った後でした。さらにもうひとつ先のボートも出て行き、一気に視界が開けました。次いで反対側のボートも出て行きました。なんだかみんなやけにお早いお発ちなのです。
それにしても昨夜こんな景色を見ながら夕食がとれたらなあ。ボートがいなくなって空いたスペースでは、目の前の家のおっさんが朝の行水を始めました。朝食はフレッシュジュースから始まります。
これはミックスジュースですが、材料はテーブルに置いてあったウェルカムフルーツでした。
昨日少し食べてしまったけど、もし全部食べていたら朝のジュースはなかったのでしょうか。朝食のメインはマサラドーサにプレーンオムレツです。
食事はごくあっさりした内容ですが、ようやく開けた視界が味をぐっと引き立ててくれます。朝食を終えるともう8時過ぎ、そろそろこのボートも出発です。しばらくは水郷地帯の朝の風景などをのんびり眺め、残り少ないクルーズを楽しんでいたのですが、だんだん周囲にハウスボートが増えて来ました。そしてついにハウスボートの大集団となりました。
まあ出る時もあれだけのボートがいたわけだし、ましてや帰りは同じくらいのチェックアウト時間を目指してボートを走らせるので、こうなるのは当然でしょう。
それにしてもまるで放牧場から畜舎に帰る牛の群れのようです。わがハウスボートが元の係留場所に戻ったのは、チェックアウト時間の9時ちょうどでありました。さすがです。ボートを降り、一日お世話になったスタッフの二人に笑顔でお礼を言いました。
しかしなぜかスタッフには笑顔がありません。それどころか右側のスタッフはちょっと怒っているようです。すると迎えに来てくれていたエージェントのおっさんが「スタッフにチップを渡したか?」と聞いて来ました。
なるほど、そうだったのか・・・
インドではこういう判断が難しいのです。基本的にはインドにはチップの習慣はないと解説しているガイドブックもありますし、実際そうなのだと思うのですが、今回のようにチップが必要なケースがあるのもまた事実なのです。
エージェントのおっさんにチップの相場を聞くと、それぞれ100ルピーずつあげてくれとのことでした。
スタッフのところに戻り、すまんすまん、すっかり渡すのを忘れていたと言いながら、あらためて二人にチップを手渡したのですが、彼らの表情は険しさこそ消えたものの、ついに笑顔は戻らなかったのでした。
でもそんなところが南インドの人たちのすれていないところなのでしょう。お金をもらったからといってすぐに態度を変えたりするのは恥ずかしいよな、とか思っているのだと思うのであります。
とまあ、以上がアレッピのハウスボート一泊二日滞在記となるのですが、最後にもう一度注意点を挙げておきますので、これからアレッピに行こうとしている人はぜひ参考にして、快適な滞在をされんことを切に祈る次第なのであります。
【ハウスボート滞在における注意点】
1、酒は早めに用意する。
2、できればエビは買っておこう。
3、チップを忘れずに!
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