結局白いネズミにお会いすることはできず、私たちはカルニ・マーター寺院から出ました。
預けていた靴を履く時、足の裏にくっついている(であろう)ネズミのウンコが気になりましたが、さりとて裸足で歩くというわけにもいきませんので、なるべく足の裏が靴にくっつかないように、そおっと歩くようにして、門前に立ち並ぶお土産屋を覗きに行きました。
さすがに門前のお土産屋です。売っているものはほとんどが宗教がらみのものばかりです。
敬虔なるヒンドゥー教徒であるドライバー氏は、そんな宗教グッズをしばらく熱心に眺めていましたが、やがてその中から小さなプラスチック製の盾を手に取りました。
「ここに白いネズミが描かれています」
と言いながら私に見せたその盾には、なるほど先ほど見た神殿のお供物皿に群がるネズミの中に、一匹だけ白いネズミが描かれているではありませんか。
という顔を私が一瞬見せたのでしょう。
すかさずその表情を見て取ったドライバー氏は、私の分までこの小さな盾を買ってくれました。
そしてドライバー氏は私にこう言いました。
「その盾はあなたの家のいつも見えるところに飾っておいて下さい。そしてこの盾を見るたびに私のことを思い出して下さい」
ありがとう、ドライバー氏。この盾は私の仕事場のいつもよく見える場所に飾っておくよ。
そしてこの盾を見るたびに、お前のことを思い出し・・・
って、この盾はあんたの名刺代わりってわけかい!
そんなわけでこの盾は今も私の仕事場に飾ってあり、そしてそいつを見るたびにドライバー氏のことを、まんまと思い出してしまうのでありました。
*すべて2007年3月時点の情報です。
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