2001/07/05 人気の凋落 ハイダラバード
インド亜大陸の中央に、デカン高原というのがある。
ハイダラバードは、そんなデカン高原にある街なので標高が500m以上もあり、多少は過ごし易いところである。
インドの地名には「○○バード」とか「○○プール」というのがよくあるのだが、一般的に「バード」はイスラム教徒が作った街で、「プール」はヒンドゥー教徒の街であると言う。
当然ハイダラバードは、イスラム教徒の作った街で、実際にイスラム教徒が多いのである。
以前私は、やはりイスラム教徒の多い街アーマダバードで、市民から熱烈歓迎を受け、スターのようにもてはやされたものであった。
あの栄光をもう一度味わいたいと、勇躍ハイダラバードに乗り込んだのである。
ところがである。
ここはすごく静かな街で、人々も外人なんかに見向きもしないのだ。
駅前でこそ、タクシーやオートリキシャに声を掛けられるが、街中ではまず声なんか掛けられない。
まったく無名の人に逆戻りである。不満である。
一度スターの階段を昇ってしまった身には、なんともひどい仕打ちではなかろうか。
つぶやきシローも、さぞ辛い思いをしているのであろう。
さて、こんなつまらない街で、唯一いいのが動物園である。
ここの「ネルー動物園」は、インド一の広さを誇り、動物を自然に近い環境で飼育しているのである。
行くしかないであろう。
さすがに園内は広かった。
しかし平日の午前中は、人もまばらで、サファリバスやミニトレインが動いていない。
ライオンやトラのサファリゾーンが見られないのである。
しかたがないのでぷらぷら歩いて行くと、突然ブロントサウルスが出現した。
その横にはティラノサウルスとトリケラトプスがいるではないか。
もちろん作り物なのだが、本物の沼があったり、大きな葉っぱの熱帯植物の間から頭を出す恐竜は、なかなか良くできていた。
やればできるじゃないか、インド人!
不思議だったのは、爬虫類コーナーでコブラやニシキヘビ、ボアといったヘビをインド人がこわごわ見ていたことである。
インド人もヘビは珍しいのであろうか?
裏庭とか天井の梁なんかにいたりしないのであろうか?
理解出来ない光景であった。
理解出来ないと言えば、住宅地の路地裏でおじいさんが孫らしき子供に道端の牛を見せていたのであるが、その子供は牛の近くに行くのを怖がり、泣くのである。
なんでだろう?インド人だろ?泣くなよ。
結局ハイダラバードの滞在は、この文章同様、何の盛り上がりも見せないまま終わりを告げた。
ハイダラバードには申し訳ないが、私はこの街には合わないようである。
デカンショ、デカンショでは、半年も暮らせないのであった。
面白くなくて、申し訳ない!