リシュケシはガンジス河の上流にあるヒンドゥー教の聖地です。
山間部ですのでデリーに比べ気温も少し低く(でも日中は結構暑いです)、またデリーから車や列車で6~7時間で来てしまうという手頃さもあり、巡礼者のみならず家族旅行などで訪れるインド人も多いようです。
そんなリシュケシに、この度私も行って参りましたので、ここにご報告申し上げる次第であります。
今回リシュケシへは、デリー在住の友人チョロチョロちゃん(仮名)と一緒に行きました。
チョロチョロちゃん(以下面倒なので「C君」と略す)とは「インドで会おう!そして一緒に飯でも食おう!」ということになっていたのですが、「どうせなら一泊でどこかへ行かない?」ということになり、「じゃあ、リシュケシでも行きますかあ?」「ほおほお、リシュケシですか、そりゃあいいですなあ」ということに話がまとまり、すべての手配をデリー在住のC君にお任せし、私はくっついて行くだけという大変気楽な旅行となりました。
通常デリーからリシュケシまでは、列車かバス、または車をチャーターして行くのが一般的なのですが、C君の考えた計画は、往路が飛行機、復路は列車というものでした。
その計画は私がインドに発つ前にメールで連絡がありましたので、手持ちのガイドブックを繰り、リシュケシ、ハリドワール(リシュケシの隣町でやはり聖地です)への飛行機でのアクセスを調べてみたのですが、どこにもそんなものは載っていませんでした。
ガイドブックにも載っていない飛行機って、いったいどんなの?
私、飛行機、あんまり好きじゃないんですけど・・・
そんな感じで、私には全容がよくわからないまま始まってしまった今回の「お気楽極楽お任せ旅行」ですが、まずはデリーの国内線空港に舞台を移します。
搭乗予定のエア・デカン、デラドゥーン行き509便は、出発予定時間を1時間も過ぎているというのに、その遅延の説明アナウンスすらなく、ましてや陳謝などもなく、当然お詫びの菓子折りなども出ず、冷房の効き過ぎた待合室で私たちはひたすら搭乗案内を待っていました。
手にした搭乗券には座席番号もなく、どうやら全席自由席のようです。これでは空港に早めに来た私たちの立場がないじゃあないですか。搭乗券に打ち出された受付番号「1番」並びに「2番」というものに対する、なにか特典のようなものはなければ、ただ人より長く待合室で待たされているという、なんとも理不尽な仕打ちにしか思えないのですが・・・
そんなことを考えながら寒さと戦い続けた結果、当初予定の現地到着時間の11時45分に、ようやく搭乗案内が行われたのであります。
待合室からバスに乗り込み、飛行機のかたわらまで移動して行ったのですが、ありゃまあ、なんて小さな飛行機なんでしょ・・・
そこにあったのは、双発のプロペラ機でした。
尾翼のすぐそばの後部乗降口から乗り込むのですが、そのタラップすら2~3段しかありません。
そして機内は片側2席で、しかも座席間隔が異様に狭く、座ると脚も組めないくらいのものでした。
と、いきなり前の席のおやじが背もたれを倒して来ました。ただでさえ狭いというのに背もたれなんか倒されては、その圧迫感で息が止まりそうです。なにしろおやじの頭が私のすぐ鼻先あたりにまで迫って来ているのです。(この写真のもじゃもじゃ頭のおやじが、この後背もたれを倒して来ました。なろー!)
そんなまるでバスみたいな感じの飛行機ですが、離陸前の安全に関する説明はちゃんとありました。
通路前方にバスガイドさんが・・・じゃない、スチュワーデスさんが立ち、自らの肉声でシートベルトの使い方などを説明するのですが、その声はすでに始動を始めたプロペラの音にかき消され、あまりよく聞こえません。でもまあ、これは一種の儀式みたいなもので、どうせ誰も真剣に聞いていないので、それでいいのかもしれません。
滑走路に移動したちび飛行機はプロペラ音をいっそう高め、いよいよ離陸の時を迎えるようです。
おー、動き出した、動き出しましたよ!
これまで私はプロペラ機というものに乗ったことがなかったのですが、意外と加速がいいものなんですね。もっとよたよたと走って行き、なんとなくふわりと浮くような感じを想像していたのですが、ジェット機とそれほど変わらない離陸じゃあないですか。
ぶんぶんぶるぶるとプロペラを回転させ、大空に舞い上がったちび飛行機は、その後も小刻みに機体を震わせながらも安定飛行に入ったようです。
すると後方からワゴンを引っ張って、バスガイ・・・スチュワーデスさんの登場です。どうやら機内サービスのようです。
しかしそれは無料のサービスではなく、すべて有料の機内販売だったのであります。
でもまあせっかくなので、紅茶とケーキを頼みました。50ルピーでした。
遅い朝飯代わりの昼食の、あまぁ~い甘いケーキを苦労して半分食べた時、突然シートベルト着用のサインが点りました。
もう着陸態勢に入るようです。
早!
次回につづく