マウント・アブーは平坦な土地の多いラジャスタン州にあって、貴重な存在ともいえる山なのですが、そこはまた絶好の避暑地となっていて、夏ともなれば近郷近在からわんさと人が訪れる場所なのです。
私がそんなマウント・アブーに行ったのは3月の下旬でした。
3月の下旬とはいってもインドではすでに夏が始まっており、太陽はじりじりと肌を焼き、気温はぐんぐん上がって来る時期です。
しかし標高1200mに位置するマウント・アブーの街は、さわやかな風が吹きわたり、朝夕は肌寒いくらいの陽気なのです。
ということで、ここで泊まるのはエアコンなしの部屋で充分です。
なにしろインドではエアコンがあるのとないのとでは倍くらい値段が変わってしまうこともあるのです。
それに今の私には、あのクソ暑かったウダイプールの夜を耐え抜いたという自負もあるのです。
私が選んだのは「Hotel Vilas」という名前の宿でした。
名前に「Hotel」と付いていますので、「私の選んだホテル」と言えばよさそうなものなのですが、その宿はどう見てもホテルなどではなく、家族総出でやっているゲストハウス、つまり日本的に言えば民宿みたいな感じのところなので、私は「ホテル」とは呼びたくないのです。
そんな「こんな宿は決してホテルと認めないからな」という私の頑なな気持ちが伝わったのか、宿の主人が案内したのは見た目がちょっと立派な本館ではなく、その横っちょに「ついで」みたいにくっついている二階建てのアパートみたいなところでした。
しかも通されたのが一階の端っこの部屋で、ベッド脇の窓からは前の通りが丸見えです。まあ窓には金網が貼ってありますので、外からはそう簡単に中が見えないと思いますが、夜など部屋の電気を点けていたらおそらく丸見えになることでしょう。
ベッドのシーツもすごかったです。
なにしろツギが当たっているのです。しかもカギ裂きを直したようなものではなく、ぽっかり穴の開いてしまったところに当て布をしてその周囲を縫うという本格的なもので、昔のチャルメラおじさんのズボンにあったツギみたいなやつなのです。
でもこれは逆に、このツギから経営者家族の温かみみたいなものが感じられ、私の中ではポイントアップになりました。
もっともツギの縫いしろの盛り上がった部分に素肌が触れると、やはりちょっと違和感を覚えましたが・・・
しかし窓から覗かれることやシーツのツギなんてのはたいしたことではありません。私がこの宿で一番閉口したのはシャワーなのです。
なにしろこの宿は温水シャワーがなく水だけしか出ないのです。しかも3月の避暑地の夜は結構寒く、当然水道の水も冷たいのです。
そんな水シャワーを一度頭からざざっとかぶり、素早く石鹸を頭と体に塗りたくり(私の頭は丸坊主でした)再び水シャワーで石鹸を流し去るという早業を持ってしても、それがまあ寒いのなんのってあーた、
これじゃあマウント・アブーじゃなくてマウント・サブーです。(寒)
そりゃあまあ元々一泊250ルピー(約500円)という安い部屋を、さらに値切って200ルピー(約400円)にしてもらいましたので、文句を言えるような立場ではないのですが、あたしゃ心臓が止まってしまうんじゃないかと、肝まで冷やしてしまったのでありました。
つづく・・・
なんですがあ・・・
えーとですねえ、すでに6回にわたって書いて参りましたこの「2010年インドの旅」なのですが、諸般の事情によりまして、ここで一旦お休みを頂きたいと思います。
と申しますのは、先日のインドの旅に関しましては、当初の予定ではこのメルマガで詳細を書き、ブログで写真入り小ネタを書くというつもりでおったのですが、それがなんだかブログの方に力が入って来てしまい、基本的に「一日1枚」だった写真も2枚3枚と増えて行き、最近では5枚くらいは当たり前、今なら写真増量中!みたいになってしまっております。
それに引き換えこのメルマガの方は、毎日更新する上に写真(しかもカラーです)まで付いているブログに圧倒されてしまい、完全に精彩を欠いてしまっているじゃあありませんか。
というわけで、ここで思い切ってブログの方に全力を集中させた方がよいのではなかろうか、二兎を追うもの一兎を得ずなんてこともいうわけだし、何事も欲張ってはいけないわけで、ねっ、ひとつにしよ、そうしよ、という結果に相成ったのでございます。
今後インドのネタは私のブログの方でご覧頂きますようお願い申し上げ、突然の打ち切り発表と代えさせて頂きます。
途中でへこたれてしまい、大変申し訳ございませんでした。