相変わらず本日も、インドはデリーの片隅からこのメルマガをお送りさせて頂いております。
昨日のデリーは小雨模様でありまして、気温も低めでなかなか過ごしやすい陽気でありました。
インドのこの時季は乾季ですので、暑い日でも空気が乾燥しているため、直射日光さえさければ、日本のねっとりまったりの夏より過ごしやすく感じることもあります。
で、昨日はその日差しもありませんでしたし、雨と言ってもほんのおしめり程度でしたので、湿度もそれほど上がらず快適でした。
さて、今朝もみなさまからいろいろなメールを頂いております。ありがとうございます。
やはりそのすべてにお返事を出すということができませんので、頂いたメールの中にあった質問を、いくつかこの場でお答えさせて頂こうと思います。
まずは、「インドの結婚式は何日もかけてやるそうですが?」というものです。
私は残念ながらそのような華燭の展には参加したことがないのですが、参加したことがあるという知人の話などをお聞きしますと、いろいろなセレモニーがあって、何日かかけてやるそうです。
しかしその間にアルコール類が出ることはあまりないらしく、その話をしてくれた知人は飲兵衛なのでとても辛かったとのことでした。
まあ、多民族多宗教の国インドですから、結婚式事情もいろいろあるとは思いますが、アルコールが出ないのであれば、私はこのまま結婚式に出席する機会に恵まれなくてもいいやと思っております。
それからもうひとつ、「インドにもワインやウイスキーがありますか?」というご質問ですが、お任せ下さい、その話題は得意分野であります!
そんなわけで、前々から現地発レポートを読まれていた方にとっては、
「おっ、今回はビールの話題が出てないぞ。こっちはインドの話が聞きたいわけで、別にビールの話なんかどうでもいいのに、毎回毎回ビールの話ばっかりしやがってよお!ったくう!」
と、少しの安堵と大きな不安を抱きつつお読み頂いているのではないかと思います。
大変長らくお待たせ致しました。
インド発現地レポートのハイライト、お酒の話です!いやっほお!
「あ~あ・・・寝た子を起こしてしまった・・・」
そんなため息は無視して行きます。
キイを打つスピードも上がって参りました。
えー、まず、インドにもワインはあります。
たぶんどこかの検索サイトで「インド」+「ワイン」とサーチをかけますと、その結果の中につたないワインの小瓶の絵が出て参ります。
それ、私の絵手紙のやつです。もう5年も前のものですが。
そのワインはルビーワインというもので、チェンナイの駅前で買ったのですが、ラベルにはゴールコンダの丘というものが描かれておりますので、バンガロール・・・あれ?ハイダラバードだったかな?たぶんハイダラバードだな、うん、のものかと思います。
その他にもいろいろな銘柄がありまして、日本円で2千円くらいするものもあるのですが、そいつはただただ甘いだけで、ちっともおいしくありませんでした。
それから、ウイスキーもあります。
町の酒屋さんを見ていますと、むしろビールよりウイスキーの方が売れているようです。
これは私の想像なのですが、おそらく、ビールは冷やさなければおいしくないので、冷蔵庫のない人たちはあまり買わないと思うのですよ。それにアルコール度数に対しての価格が高いので、効率よく酔うためにはウイスキーということになりましょう。
では、ビールはどれほど高価かと言いますと、インドの代表的なビールであるキングフィッシャーの大瓶(750ml)が30ルピーです。
で、おもしろいのが330mlのアルミ缶も同じ値段なのです。
そして今回初お目見えしたのが、330ml入りの小瓶なのです。こいつは20ルピーで買えます。
そんな新発売のこじゃれた小瓶を、私は昨日買いに行ったのであります。
小雨模様の気候に助けられ、私の滞在先から徒歩10分ほどの酒屋に、キングフィッシャー330ml入り小瓶20ルピー也を歩いて買いに行きました。
私は毎日大瓶で3本ほどのビールを飲みますので、大瓶を買ってもよさそうなのですが、1本目はまだしも2本目以降は飲むスピードが落ちるため、だんだんビールがぬるくなってしまうのですね。
そこでこの小瓶なのです。この小瓶なら、冷蔵庫から小出しにして飲めますので、かなり具合がいいのです。
お店に到着すると、すぐに店員にキングフィッシャーのスモールボトルを一ケースオーダーしました。
店員は店の奥から段ボール箱に収まったいとしのキングフィッシャー24本を、よっこらしょともって来ました。
その持ち方を見て、私は初めて不安になりました。
おっ、なんだか重そうだな・・・
試しにそのケースを持ってみますと、あらら、想像以上に重いではありませんか。
そこで私は、すぐそばに積んであった、アルミ缶の24本パックを持ってみましたら、あー、こちらはさすがに軽いです。しかも段ボールのトレイに乗ったものをビニールパックしてありますので、持ちやすいです。
さて、どうしたものか・・・
しばらく思案した私でしたが、ビールはできれば缶ではなくビンで飲みたいと常日頃から望んでいることと、値段が1本につき10ルピーも違うので、一ケースも買うとなんと240ルピーも高くなってしまうのです。
まあいいか、がんばって持って帰るとするか。
私は意を決して小瓶を買うことにして、店員に紐でしっかりしばってくれと頼んだのですが、それはできないと言うのです。しかも段ボール箱のフタは中身を確認するために開け放たれたままなのです。それをこのまま持って帰れだなんて・・・
店員はビールの箱を店の外まで持って行ってくれ、そしてオートリキシャに積んでやると言いました。しかし私は、自分で持って帰るからいいと断り、店員から箱を受け取り歩き出しました。
たった3歩歩いただけですでに後悔を始めた私ですが、そこはニッポン人としての意地がありますので、威風堂々とはいかないまでも、力強く酒屋を後にしました。
一つ目の角を曲がるとき、早くもけつまづいて転びそうになりました。
これは相当しっかり気を引き締めて運ばねばならないようです。
私は箱の底の合わせ目が開かないように手で押さえながら、なおかつ足がちゃんと上がるように箱を胸元近くまで上げて歩き始めました。
インドではまだまだお酒はあまりいいイメージを持たれていません。酒屋でお酒を買った人は、そいつをすばやく懐に隠して持ち帰ったりします。それをまだ明るい時間に、キングフィッシャーのマーク入りの箱を、こんなに堂々と胸元にかかげ歩いていいものでしょうか。
それでも私はビールが飲みたい一心でそいつを運び、疲れるとそこらに止めてある自転車の荷台などに乗せ一息つき歩き出すといったことを繰り返しながら、いよいよ最後の直線に差し掛かりました。
しかし、元々質の悪いインドの段ボールで、しかも上ブタが開いたままの箱はゆがみやすく、歩くたびに中のビール瓶が踊るものですから、先ほどから上ブタは完全に直立し開放状態で、世間様に「おいおい、こいつビール運んでんぞ!」と喧伝しているような感じになっていました。
と、突然、箱の前方側面から底に折れ曲がる部分に亀裂が入り、いとしのキングフィッシャー330ml入り20ルピーこじゃれたデザインがとてもいかすグリーンの小瓶が一本こぼれ落ち、
ぽぉ~ん!
という小気味良い音があたり一面にこだましたかと思うと、ビールの匂いを乾燥した空気の中にばらまいて行きました。
周りのインド人たちの目が一斉に私に集中するのがわかりました。
そしてインド人の注目を一身に浴びてる私はと申しますと、なんとしてでもこれ以上の損害を避けようと、必死に崩れかかった箱を抱え込み、さりとて動くこともできず、割れたビンの破片の前で、へっぴり腰でじっとしているのが精一杯だったのです。
いつもはいろいろ話しかけてきたりするインド人のくせに、誰も助けてくれようとはしません。私は少しずつ少しずつ慎重に腰を落として行き、しゃがんだ姿勢の位置まで来たとき、2本目の小瓶が転げ落ちてしまいました。幸いそいつはボコッと音を立てただけで割れず、中のビールが不満そうに泡を立てただけでした。
私はさらに慎重に姿勢を前傾し、ついに箱を地面に置くことに成功したのであります。
しかし、地面に置くことがこの問題の解決となるわけではありません。私はあくまでも、このビールたちを冷蔵庫までご案内したいわけなのです。今は地面の上で一見安定した生活に見えるビールたちですが、あくまでもそこは仮の住まい、お前たちの居場所ではないのだぞ。ん、わかってるのか?そこんとこ?
さて、どうしようかと思案に暮れていた私ですが、ここはもうオートリキシャに乗ってしまうしかないでしょう。
ちょうど私が立っている現場は、オートリキシャの修理屋さんの前なので、たくさんオートリキシャが並んでいます。でも、考えてみればそのオートリキシャは修理のためにそこに来ているので、私を運んではくれないわけです。
仕方なく私は通りすがりのオートリキシャを止め、運転手に手伝ってもらいながらビールを乗せ、次いで私も乗り込み無事帰還と相成ったわけです。
しかし、走った時間はほんの一分程度でした。
それなら最初から乗っちゃった方がよかったのにねえ。
ようやく部屋にたどり着き、ビールを冷蔵庫に入れるときに、疲れた右手が震えて、またもや落としてしまうのではないかと思った私だったのであります。
おしまい。
さて、連日お送りしております現地レポートなのですが、明日とあさって(6/4、5)はお休みを頂きます。
ちょっとスペシャルな小旅行をして参りますので、そのレポートはまた後日行います。どうぞお楽しみに!
では、また来週!