ウダイプールで真鍮製の壺造りをしている職人さんの、その熟練した技を見せてもらっていた時のことです。仕事に一区切りつけた職人のおやっさんは、仕事場の奥(たぶん住居スペースだと思います)に引っ込んで行ったかと思ったらすぐにまた戻って来て、私の目の前にその手のひらを差し出して見せました。
ほおほお・・・さすが長年この仕事を続けてきた職人さんの手は違いますなあ。なるほど、この手であの壺を造り出しているわけですな。
いえいえ、おやっさんが私に見せたかったのは自分の手のひらではないのです。
おやっさんはその手のひらに乗せた古ぼけたコインを見せたかったのです。とは言え・・・そのコインがなんであるのか、またそのコインを見せてどうしたいのか、ということがまったくわからないのです。なんせ言葉がよく通じてないものですから。
私はかつてパキスタンのタキシーラというところの遺跡を見ていた時に、どこからともなく現れた少年から、やはり古ぼけたコインを買ったことがあるのですが、もしかしたらこの職人のおやっさんもこの古いコインを現金化したかったのかもしれません。
しかし私はそこらへんの事情がよくわからなかったものですから、ただあいまいに笑いながら写真だけ撮って退散して来たのでありました。
もしこれがなにか非常に価値あるコインであるのなら、今度行った時に譲ってもらうという手もありますので、今後インド古コイン関連の資料には注目なのであります。
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