現在ゴア州の州都はパナジになっていますが、かつてポルトガルの支配下で栄華を誇った街はパナジではなく、今では「オールド・ゴア」と呼ばれる地域です。
オールド・ゴアへはパナジからバスで30分足らずで行かれ、料金も8ルピー(約16円)ととてもお手頃です。
もっとも私はポケットや財布に散らばった小銭をかき集めながら車掌に手渡していたら、途中でいくら渡したかがわからなくなってしまい、後から冷静に数えてみたら9ルピー払ってしまったことが判明し、愕然としたのでありました。というわけで人より1ルピー多く払って到着したオールド・ゴアでしたが、これが意外に閑散とした所でした。
しかしその閑散とした中に数々の古い教会などが点在しており、それらをぜんぶ合わせて世界遺産に登録されているのです。つまりここは「束になってかかって来る」世界遺産なのですが、そのひとつひとつもなかなかすごく、世界史の教科書に出て来る有名人物ゆかりの建物だったりするので侮ってはいけないのです。
たとえばここ「ボム・ジェズ教会(Basilica of Bom Jesus)」には、あのフランシスコ・ザビエルのお墓があります。
しかもザビエルの遺体は埋葬されずにそのまま安置されていて、10年に1度一般公開されるのです。次回の公開は2014年とのことですので、それに合わせてオールド・ゴアを訪れ、世界史の教科書に載っているあの挿絵と見比べてみるのもよいかもしれません。
それからこちらの「聖フランシス教会(Church of St Francis of Assisi)」には、かつての総督や聖職者たちの肖像画がたくさん展示されているのですが、その中にあのヴァスコ・ダ・ガマの肖像画もあるのです。私もそれらの肖像画を端から順番にじっくり見て行ったのですが、あまりにもじっくり見過ぎてしまい、途中でヴァスコ・ダ・ガマの絵を探していたことをすっかり忘れてしまい見逃してしまいました。まったくがっかりです。
さて、そんなオールド・ゴアの世界遺産群は、暑い中に歩き回るには少々広すぎるようです。
先ほどご紹介したふたつの教会は、この世界遺産の中心的建物であり、また両者は道を隔てたところに建っているために観光客も多いのですが、そこからちょっと入ったところ(歩いてほんの5分くらいなのですが)にあるこの「聖カジェタン教会(Church of St Cajetan)」になると、訪れる人もぐっと少なくなり、たまにいたとしても徒歩ではなく車で見て回っている人だったりします。
さらにボム・ジェズ教会から10分程ゆるい坂道を上がって行かなければならないこの「聖アウグスティヌス教会跡(Church of St Augustine Ruins)」になりますと、もうほとんど閑古鳥が鳴いているといった感じです。またここにはインドの観光地によくいる物売りや自称ガイドもおらず、監視にあたる人すら見当たらないため、本当にひっそりとしていて怖いくらいです。
なので普段ならその騒がしさについ眉をひそめてしまうインド人観光客グループが来た時などは、逆にちょっとホッとしてしまったりするのであります。
そんな実に静かでゆったり見学できるオールド・ゴアの世界遺産群ですが、ほとんど観光客など来ないであろうこんな場末的な場所にも、おそらく人の手できちんと管理されているものであろう花々がきれいに咲いていたりして、そんなところも他のインドの街とはちょっと違うなあと思ったりなんかしたのでありました。ああ、花を揺らす風にすら、ポルトガルの匂いを感じるなあ。
行ったことないけどね、ポルトガル。
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