かの吉田兼好も徒然草の中で、「家の作りやうは、夏をむねとすべし」なんてことを言っておりますが、夏の暑さの厳しいインドではなおさらのことでありまして、いかに酷暑期を涼しく快適に過ごせるかということが重要なテーマになっているのであります。
ということで、アンベール城に限らずインドの古いお城やお屋敷には、このような透かし彫りの窓というものが随所に見られます。透かし彫りの窓は適度な光を透しつつ風も通し、また見た目においても涼しげに見えるというすぐれものでありまして、その豊富なデザインはどれもとても美しいのですが、よーく観察してみると意外にもそのパターンは単純なものだったりします。
まあ上の(写真)窓のものはちょっと複雑な部類かと思いますが、この下の(写真の)ものなどは基本的に星形と六角形を組み合わせただけのものでありまして、実に単純なのであります。またこのアンベール城では別の暑さ対策として、庭園に水路を設けたり、さらには部屋の壁から水を流れ出させたりもしていたということなのですが、それは単に水で気温を下げるというだけでなく、そのせせらぎ音を聞くことで涼しげな気分を味わうというものだったようです。
そうした暑さ対策としての水の利用についても吉田兼好は、「深き水は、涼しげなし。浅くて流れたる、遥かに涼し」と言っているのですが、いやあ実に的確なアドバイスだなあと、改めて感心してしまうのであります。
今回はなんだか高校時代の古文の授業を思い出してしまいました。
*すべて2008年3月時点の情報です。
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