2001/06/10 星に願いを バンガロール
私の部屋には一匹のヤモリがいる。
最初に気が付いたのは、2日ばかり前の朝だった。いきなり私の腕に飛び乗ってきたのだ。
私はその体長3cm程の小さなヤモリを捕まえようとしたのだが、そいつはぴょんと飛んで、壁に張り付いた。それから、ぴょんぴょんと何度か飛んで、ついに天井に達してしまった。
こういう動物をきらいな人も多いであろうが、このヤモリはとてもかわいらしいのである。
色は薄いベージュで半ば透き通っていて、目と腹の一部が黒く透けて見えたりしている。
体に対して頭が大きく、だいたい7頭身くらいであろうか。また、壁などに張り付き易いように、指が平たく大きいのが特徴である。
ヤモリは「家守り」とも言い、家を守ってくれるということを聞いたことがある。
だとすると、ヤモリはいいやつと言うことになる。妖怪で言えば座敷わらしと同じではないか。
座敷わらしは、家の中で四方から建具の集まる柱の下にいると言うが、ここには建具はおろか、柱すら無い。それでは、座敷わらしはここにはいて下さらないことになろう。
何てことだ。お家お取り潰しの危機ではないか。
しかし、誰も座敷わらしの話をしろと言ったわけではなく、ヤモリの話をしていたので、本題に戻す。
こうしたヤモリは南方ではめずらしくなく、東南アジアなどに行けば、うじゃうじゃいるのだ。
このヤモリの仲間には鳴く種類もいて、そいつが7回鳴く間に、願い事をすると叶うと言う話を聞いたことがある。
太平洋戦争の時、南方に送り出された兵隊が、ヤモリの泣き声に「内地帰還」を願ったと言う。
ならば私も願い事をしようではないか。
世界人類が、みな平和で暮らせますように・・・
そして私が、遊んで暮らせますように・・・
私のヤモリは、いつまで待っても鳴かないのであった。