インドでは道端でよく食べ物を売っています。
そのほとんどは庶民向けの安価なものです。
そういったものを商う店(?)は、季節によって扱う商品が変わって行きます。
たとえばこの間までバナナを売っていたと思ったら今度は瓜を売っていたり、またイモに変わったりして1年が過ぎて行くのです。
彼らはそれぞれの季節で一番手に入り易いもの、つまりは安いものを商っているのですが、考えてみたらそれらは「旬」の食材でもあるのです。
ですから道を歩いているとき、何気なく目に入るそんな光景が「インドの四季」を教えてくれたりします。
今の季節(7月~9月)は何と言ってもとうもろこしが目に付きます。
平たい鉄鍋の上で炭をおこし、その上にとうもろこしを直接乗せて焼きます。
日本のものと違い実は小さくて甘くありません。
少し大きなものもあるのですが、欲張ってそういうのを選んでしまうと硬くて食べられなかったりします。
とうもろこしを選ぶコツは実の小さい若いものを選ぶことです。
そしてその場で皮をむいて焼いてもらい、さらにその場で食べるのが最高においしい食べ方です。
でも店先の机(たいていは木箱をひっくり返した程度のものです)の上には、すでに焼かれたとうもろこしが何本か置かれていることがしばしばあります。
そんな店にのこのこ出かけて行き「とうもろこし1本おくれ」なんて言うと、その焼いてあるやつを渡される可能性があります。その事態は絶対に避けなければなりません。
じゃあどうするかと言いますと、まず初めに何も言わずに店先の焼かれたとうもろこしをさわるのです。
遠慮なんかしていちゃだめです。親指と人差し指でとうもろこしをつかみ、硬さを調べるのです。
何も本当に食べられるかどうかの硬さを判断する必要はありません。どうせたいてい硬いんですから。
そうやって硬さをみているようなふりをしながら、少し悲しそうな顔をして小さく首を振りましょう。
すると店のおやじはまだ皮もむいてないやつを見せて「これならどうだ」と聞いて来ます。こちらの思うツボです。
そこでおもむろに皮を少しめくり確認するふりをして、「いいだろう、焼いてくれ」と言うのです。
このように振舞っておけば、とうもろこし屋のおやじに「むむ、こやつできるな。プロのとうもろこ士かもしれん」と畏怖と尊敬のまなざしをもらうことができるというわけです。
さらに、その場で食べずに持ち帰る場合は、おやじの脇に捨ててあるとうもろこしの皮の山からきれいそうなものを選んで拾い、そいつで焼きたてのとうもろこしを包み小脇に抱えて帰るのです。
「あばよ、おやじ。また会う日もあらぁな。それまで達者でな!」
これであなたも粋でいなせな「とうもろこし喰い」の仲間入りです。
さて、要領が分かったところで実践です。さあ街に出て試してみましょう。
そうそう、街と言ってもインドの街ですよ。
間違っても日本で、しかもお祭の夜店でやっちゃ・・・・・・・・・
あっ、だめです!よしなさい!
あ~あ・・・
あなた自身がヤキを入れられちゃいましたね・・・