ブジに着いたら絶対このレストランに行こうと、固く固く心に決めていた。
ここはヌーラニという名のノン・ベジレストランである。そう、ここでは肉が
食えるのだ。
味付けもとてもスパイシーなので、インドにヨガとかアーユルベーダとか精神修養とかを求めて来た人には縁がないかもしれない。
さて、私はまともな食事を丸二日間も取っていないこともあり、気持ちがはやってしまい少々ぎこちなく入店した。
案内のボーイはエアコンの部屋を勧めてくれたが、あえて普通の席にした。辛いものや熱いものを冷房の効いた部屋で食べたいとは思わない。暑いときに辛いものを大量の水を飲みながら食べ、汗をダラダラ流すのが好きなのである。
まずはチキン・ホット&サワースープから始める。
これはその名の通りチキン入りの辛くて酸っぱい、少しとろみの付いたスープである。空腹の弱った胃に染み渡る。
それからメインディッシュにマトン・ガーリックマサラを注文した。
これもその名の通り羊肉入りのニンニクの効いたカレーである。上に乗っているのはクルミだか豆だかであるが、正確にはよくわからない。まあカレーがメインで添え物などには無頓着なのだ。
これに合わせるのはプレーンライス、つまり普通の白飯である。インドでは常にカレーをナンで食べると思ったら大間違いなのだ。少なくとも私はこの組み合わせが一番好きである。なにしろ帰国後の第一食目にカレーライスを選ぶくらいなのである。
最初のスープですでに胃が痛めつけられており、そこに肉のかたまりと噛み応えのある米ではそうたくさん食べられない。ご飯もカレーも半分くらいしか食べられなかった。
代金は全部で390ルピー(約624円)だった。
ボーイをテーブルに呼び、さりげなく500ルピー札を出す。
ボーイは素直にそれを受け取りレジに持って行ったが、レジの係りのあんちゃんに何か言われている。
私はレジの方を見ないようにして、知らんふりを決め込んでいたが、おそらくボーイが「だってさあ、外国人だから500ルピー札が使えなくなっちゃったってこと知らないんじゃないの」とか言ったのだろう、やがてレジの係りが折れたらしくお釣りを持ってやって来た。
やった! 私の勝利だ!
しかしさすがにそろそろ500ルピー札は受け取ってもらえなくなって来たようで、さて、残りの500ルピー札をどうしようかなと考えながら店を後にしたのであった。
*情報はすべて2016年11月時点のものです。
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