2001/05/24 暑さ寒さもひがんでる アーマダバード-ムンバイ
どうしてこう間が悪いのであろうか。
二度目のインドの列車移動という事で、前回の失敗を踏まえての乗車であった。
前回の失敗とは、インドの列車では食事と水が配られるということを知らず、食事を済ませ、水も用意して乗車してしまった事である。
念のために水は500mlだけ用意したが胃袋は空っぽにしたまま、私はアーマダバード22時10分発、ムンバイ行きの列車に乗り込んだ。
さあ来い!スペシャルディナー!
すでにインド人がひとり座っていたので、その人に座席の確認などしつつ、ついでのような振りをして「ご飯出るんですよねぇ」と聞いてみた。
するとどうだ「出ない」と言うではないか。おまけに水も貰えないと言う。
今夜はもう遅いので我慢するとしても、翌朝も出ないらしい。どうやら私はムンバイに到着するまで水500mlでしのがねばならないらしい。この間の食事を残さなければよかった。
こうなると寝具のことも心配になってくる。毛布は貸して貰えるのだろうか?
思えば前回エディのかけてくれた毛布の何と暖かかったことであろう。
今回は食事も与えられず、エアコンがギンギン効いた車内で毛布もなく凍え、まるまって寝なければならないのか?
かわいそすぎるぞ、私!まるで八甲田山だ!
もう一度そのインド人に寝具のことを聞いてみた。
なに!貸していただけるのか!ありがたや、ありがたや。
来た来た!遅かったじゃないか毛布くん!
よく来たよく来た、まあ上がってくんな、と早速自分のベッドに敷き、早くも寝ることにした。
なにしろ腹が減っているので長話好きのインド人には付き合っていられないのだ。
寝るが一番、寝るが一番・・・
早々に寝ようとしている私に、インド人が「シーツを敷かなきゃだめじゃないか」と言う。
私はこのケチンボ列車がよもやシーツなどというしゃれた物を貸してくれるとは思わなかったので、毛布を縦にふたつ折りにして、みの虫のように寝ていたのだ。
そんならそうと毛布と一緒に持って来んかい!
空腹も列車の揺れには勝てず、やがて私は眠りについた。
翌朝5時半頃に目を覚ますと、すでに周りのインド人達は誰もいない。少しあせったが、私の降りる駅は終着駅なので乗り過ごす心配はない。きっと彼らは途中駅で降りたのだろう。
もう少し寝ようと思ったその時、ぜんぜん関係ないオヤジがやって来て向かいのベッドにごろりと横になった。
しかもそのオヤジは横になる直前に扇風機のスイッチをONにし、自分は毛布もかけずにグーグー寝てしまったのである。
たまらないのは私である。見れば室温は22度で、その上扇風機である。しかも空腹の身にはとても厳しく、もう寝るどころではなくなり起きてしまった。
寝るのをあきらめ座席に座り直し、線路際で悠然とうんこをする人々を車窓に眺めながら、「インド人は暑さにも寒さにも、きっと放射能にも耐えられる人々なんだろうなあ」と、寝起きの頭でそんなことを考えたのである。