今日のインドも快晴です。気温も40度に達するでしょう。
(一昨昨日からはここまで定型文になりました)
改めましてこんにちは、昨日は何のご指摘もなく、ちょっと拍子抜けしてしまった隊長です。
まあ昨日は月曜日、一週間の始まりでこんなメルマガ相手にしている場合じゃなかったのでしょう。しかたありません。
でもまだまだ出し続けますので、週末にでも読んで下さい。
それでは今日も酷暑のデリーからおとぼけ・・・お届け致します。
【本題開始】
私の泊まっているホテルの向かい側にある建物が、いま取り壊し工事の真っ最中です。
もともと3階建てか4階建てであったと思われるその建物は、毎日何人かの人たちで壊されていっております。
日本では建物の取り壊しには、でっかい鉄球をぶつけたり、でっかい鉄のはさみでばりばりとむしりとったりといった具合に、機械でどんどん壊していくのが一般的ではないかと思います。
でもホテルの向かいのその建物は、人の力だけで壊されているのです。
その建物はレンガを積み上げて造られているので、大きなハンマーで上から順に叩いて外して行きます。
そしてそれは決して叩き「壊して」いるのではないようなのです。
なぜなら建物の取り壊しが進むとともに、空いたスペースにはレンガが整然と積み上げられ、日に日にその量を増しているからです。
ただ、そのレンガでもう一度建物を建て直すのかどうかは不明です。
とにかくそんな風景を見た後で、我がホテルを含む周りの建物を見てみますと、どうやらほとんどの建物がレンガ積み上げ方式でできているようです。
一見鉄筋コンクリートで頑丈に造られているかに見える比較的きれいなビルも実は中身はレンガで、表面にコンクリートなどを塗りつけて仕上げているようなのです。
それは剥げ落ちた壁の片隅や、高い位置から見た屋上の風景などでよく分かります。
その光景は地震大国ニッポンから来た人間が見ると、ちょっと空恐ろしいものに感じるわけであります。
ホテルの屋上から街を見下ろしながら、もし大きな地震が来たら、この建物も簡単にがらがらと崩れ去ってしまうのではないかと考えると、尻の穴がすぼむ思いが致しました。
さて、そんなレンガ積み上げ文化のインドだからか、その応用が至るところで見られます。
まず、同じくレンガを用いた応用例で行きますと、道端で開業しているミニ食堂のカマドがあります。
それはもう本当にただ道端にしゃがみこんで煮炊きをしているだけの、食堂とは言えないような・・・っていうか食堂の「堂」が存在しない店なのですが、彼らはレンガを「コ」の字型に積み上げ、そこで調理をしているのです。毎日がアウトドアライフなんですね。
それから街路樹や公園の木などの周りにレンガを円筒形に積み上げている光景もよく目にします。
おそらく牛などに葉っぱや木の皮を食べられないようにとの、防護用の柵なのでしょうが、少しずつ隙間を空けてレンガを積み上げてあるそれは、なかなかインドの風景にマッチしておりきれいなものです。
そしてインド積み上げ文化の最たるものは、お店の商品の陳列方法に見られます。
日本でも野菜や果物を積み上げて「一山いくら」で売るケースは多々ありますが、インドではあらゆるものを積み上げます。
ビンのジュースを売る店では、すべてのビンのあの小さな王冠の上にライム(インドではレモンと言っております)を乗せています。
落ちたらまた乗せます。慎重に慎重に・・・
缶のジュースや缶詰などはさらに積み上げやすいので、缶をピラミッド状に積み上げた上に、ライムやオレンジなどのフルーツを載せたりします。
なんだか夜店の射的の景品のようです。
この方式はちゃんとした店を構えている商店だけではなく、路上の商人でも同じです。
いえ、むしろ路上の商人こそ必要な技なのであります。
なにしろ彼らは路上にシートを敷き、そこに商品を置いて売るわけですから、少しでも人の目線に近い位置まで積み上げたいわけです。
もちろん地上1メートルも2メートルも小さな商品を積み上げるのは、技術的にも商品の在庫数からも難しいことでしょう。
それでも彼らは毎日シートを敷いては、せっせと商品の積み上げ作業にいそしむのです。
それぞれ自分の商う商品の形状に合わせた最良の方法を編み出し、あるときはピラミッド状に、またあるときはらせん状に、またあるときは何方向かから互いに身を寄せ合わせ、そしてまたあるときには商品同士をかみ合わせるといった「積み上げ技」を競い合っているのです。
この時季の道路端では、スイカ売りをよく目にします。
日本のスイカとは形が違い、ラグビーボールのような形です。
果肉の色は赤で、味も日本のスイカとさほど変わりません。(まあ日本のスイカと食べ比べると、甘さがぜんぜん違うのでしょうが)
そしてその大きなスイカでさえも、うずたかく積み上げられています。
もちろんきれいに見えるようにピラミッド状に積まれているのです。
でも大きくて重いスイカをあんなに積み上げてしまったら、下の方のものがだめになってしまうのではないでしょうか。
当然売るのも下のものから売るのではなく、上から売るわけです。
つまり頂点に立つ一部のスイカを引き立てるために、その何倍ものスイカを「陳列台」としているわけですね。
そしてその姿はいまだに解消されない身分制度の上に成り立つ、インド自身の姿にも見えるわけであります。
そんなインドの身分制度にもいつか大きな揺れが走り、根底からがらがらと崩れさる日が来るのでしょうか。
しかしインドには短期間しか滞在しない外国人の私としては、ビンの上のライムがいつ落ちるのか、それがはたして本当に落ちるのかは、所詮よく分からないのであります。
【本題終了】
インドからの報告ももうだいぶ飽きられてきているのではないでしょうか。
でもそれももう少しの辛抱です。
そうですねぇ・・・あと3回くらいではないでしょうか。
そんなことを言いながらも、またまた明日もここに来て、せっせとメルマガ作りに励む私です。