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2003年7月10日:悠久への挑戦

         
  • 公開日:2003年7月10日
  • 最終更新日:2022年8月5日

インドは「悠久」という言葉がとってもよくお似合いになります。
しかし昨今ではコンピューターの発達などで情報量も増え、いろいろな場面で素早さを見せ付けることもあります。

たとえば国際電話。
ごく普通の街角の電話屋から、ダイヤル直通で日本へ電話がかけられます。
しかもかたわらにある装置に通話時間と料金がデジタル表示されるので、予算に合わせた使い方もできます。
ホントにお手軽で便利になったものです。

テレビも衛星放送のおかげでチャンネル数がものすごくたくさんあり、日本の自分の家のテレビより充実しています。
私はカルカッタでイチローが初出場した大リーグオールスター戦を見ました。
NHKの海外向け放送も見られたりして、小林克也の在日外国人用日本語教室の番組をインドで見るのもまた格別です。

そして郵便も例外ではありません。
デリーから日本にハガキを航空便で出すと、だいたい1週間くらいで着いてしまいます。
なかなか早いです。

しかし小包などを船便で出すと、日本までだいたい3ヶ月くらいかかってしまいます。
そのくらいの長旅になりますと、出すときには四角かった箱もわが家へたどり着いた時にはすっかり変形してしまい、なんだか丸い物体になっていたりします。
人間も箱も苦労をすると角が取れるという事実がうかがえ、本当に良い勉強になります。

私が主に使う郵便のサービスは「EMS」というもので、インドでは「スピードポスト」と呼ばれています。(日本での名称は「国際スピード郵便」です)

さて、このスピードポスト、普通の航空郵便と何が違うかと申しますと、まず値段です。
だいたい通常の航空便の1割増といったところです。

それでは本当に早いのでしょうか?

私の経験では通常の航空便が10日から2週間くらいかかるところを、スピードポストは1週間から10日で手元に届いてしまいます。(デリー発の場合です)
これは1割増の料金に対しては、でかしたスピードと言えるでしょう。
さらにすべての小包に番号が割り振られるため、後からの追跡調査も容易に行えるので安心です。

そんな訳で私は仕入れの商品を自分で出荷する時には、いつもこのスピードポストを使っています。

先日の仕入れ(6月初旬)の時も、自分の手できれいに梱包したかわいいかわいい16箱の段ボール箱を、ニューデリーの郵便局からスピードポストで送り出しました。

「父ちゃん奮発してスピードポストにしてやったからな!元気で行って来いよ!日本でまた会おう!」

と約束して笑顔で別れたのです。

窓口係のおっちゃんも「ちょうど3日で日本に到着する!」と、胸を張って言いました。

でも所詮インド人の言うことです、3日は無理でしょう。
こちらもインド人の性格をわきまえていますから、だいたい1週間、余裕をもって10日、手違いがあっても2週間と読んでおりました。

ところがです。私はインドをまだまだ甘く見ていたのです。
なんと1ヶ月以上を経過した本日(7/10)現在、まだ手元に来ていません。
日本にも来ていません。
なんと、まだデリーにあるようなのです。

もちろん何度もメールで問合せ、「未達郵便の苦情」も提出しました。

そしたらようやく返事が来まして、インドの税関でストップしているとのことでした。
ところがその回答にはストップの理由も書いていなければ、これからの指示もありません。
いったいどうしたら良いのでしょうか、わたし・・・

いつまで待っても来ぬひとを、想って焦がれて待つよりも、いっそ行こうかこちらから。

ってな訳で、私インドへ行って来ます。

しかし相手は税関吏です。
日本でもなかなか手ごわい税関吏なのに、今回の相手はインドの税関吏です。
日本の税関吏が普通のチャンピオンだとしたら、インドの税関吏はグランドチャンピオンです。
日本の税関吏が銀のエンゼルなら、インドの税関吏は金のエンゼルです。
日本の税関吏がかけそばなら、インドの税関吏は毛蟹ラーメンです。
日本の税関吏が熊田さんだとしたら、インドの税関吏はクマールさんだったりします。
日本の・・・はあはあはあはあ・・・

も、もうこれくらいでいいでしょう。

とにかく問題はそのグランドチャンピオンで金のエンゼルで毛蟹ラーメンのクマール氏に、私ごとき日本人が素手で戦って勝ち目があるのか?ということです。

そこで私は前回デリーで知り合った、ひとりのインド人を思い出したのです。

彼は日本語のできるガイドなのですが、デリー大学出身のインテリで、日本にも一度来たことがあり、東京から大阪まで新幹線を使わず夜行バスで移動したという渋ちんでした。
せっかく日本に来たんだから新幹線くらい乗ればよかったのにね。

とにかく彼なら日本語も英語もヒンドゥー語もできる上にインテリなので、一緒にいればこちらまでインテリに見えるかもしれません。

さっそく彼にメールを出しました。

翌日彼から返事が来ました。

私は

「さすがインドのインテリだなあ、反応が早いよ。その辺ののんきなインド人とはやはり違うなあ」

などと思いながらメールを読みました。なにしろ今回の問題を少しだけ書いておいたので、その反応を見たかったのです。もしかしたら素早く動いてくれるかもしれません。

彼のメールはローマ字の日本語で書かれていました。

そして注目の内容は・・・

「 zen zen mondai ga nai desu 」

でした・・・

やはり彼もインド人でした・・・問題があるから行くのに問題がないなんて・・・

はたして私の荷物はこれからどうなるのでしょうか?とても不安です。
それより私自信が何かの嫌疑を掛けられ、身柄を拘束されてしまうかもしれません。
とても危険な任務なのです。

私はこの話をこうして同時進行でお伝えすることにより、みなさまの同情を買おうとするとともに、私が消息不明になってしまったときは、是非お近くの交番に捜索願を提出して頂きたいとお願いする次第でございます。

みなさんもこの問題の速やかなる解決を祈りながら、続報を楽しみにお待ち下さい。

あっ、話としては大変な事態が待ち受けていた方が面白いでしょうが、私はこれでも真剣なのです。
他人事だと思って変な期待をするのはやめて下さい。

それでは、行って来ます!

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