インドをバスで旅していると、時々お世話になるのが車内販売である。
まあ車内販売と言っても常に販売員が車内にいるわけではなく、中距離の路線バスではバスターミナルなど、長距離のバスになると途中の休憩所や有料道路の料金所付近など、つまりおよそバスが停車しそうな場所で物売りたちが待ち構えているのである。販売する物はミネラルウォーターやジュースといった飲み物、炒り豆やポップコーン、お菓子といった加工食品、そして田舎などで断然多いのが野菜売りである。
野菜の種類は細い大根や瓜など水分の多いもので、そいつをその場で切ってもらってマサラの粉をかけて食べるというわけなのだ。
でまあこういう売り子の常で、とにかく発車ギリギリまで商売をしている。
でまた運転手の方も、まだ売り子が車内にいるにもかかわらず車を出してしまう。
もっともそうでもしなけりゃいつまでたっても発車できないかもしれない。
そんなわけで売り子たちは徐々にスピードを上げ始めるバスから飛び降りることになる。
もちろん彼らは身一つではない。片手で商品を入れたカゴを掲げ、足元はサンダルといった実にあぶなっかしい格好でひょいっと軽々と飛び降りて行き、また次のバスが来るのを待つのである。
プロフェッショナルだなあ。
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