ここはインドはグジャラート州アーマダバードにあるシディ・バシール・モスクです。このモスクには、ご覧の様な一対のきれいな塔があるのですが、実はこの塔、「揺れる塔」として有名なのです。
どういうことかと言いますれば、この二本の塔は同じ軟弱地盤(砂岩)の上に建っているため、片方の塔を揺らすともう一方の塔も揺れるという、とても不思議な塔だということなのです。
そんなことを聞けば揺らしてみたくなるのが心情と言うものでしょう。
ところがこの塔、高さが20m以上もあり、土台部分の直径だって、ほれ、そこのランニングシャツ姿のおっさんと比べてみれば、かなり太いことが一目瞭然であります。とても一般人が揺らすことができるような代物じゃあございません。たぶん横綱クラスの力士の鉄砲でも、ビクともしなのではないでしょうか。
ではなぜそんな軟弱地盤に建設してしまったのかと言えば、それは地震対策なのではないかと考えられているのです。つまり地震の揺れに対して頑固に抵抗するのではなく、そこは大地の揺れに身を任せ、まるで荒波に漂う小舟のように、揺れぇ~てぇ~、揺れてあなたのぉ~、むぅ~ねぇのぉ~なぁあかあ~、なのです。
そしてそれが2001年1月の大地震の時に実証されたのです。
多くの建物に被害を及ぼした大地震でさえでも、この塔はほとんど被害を受けずに済んだというのです。
この写真は2001年5月に撮ったものなのですが、片一方の塔に足場を組んで修復作業をしているとは言え、こうしてちゃんと建っているというだけでもすごいと思うのです。
しかもそんなすばらしい免震構造の塔が建設されたのが、15世紀というから驚くじゃあありませんか。インド人って、なんてすごいのでしょう。
21世紀の現代において、しかもコンピューターを使っているというのに、まともに耐震構造の計算ができないような建築士の人は、これを見習って反省して欲しいと思うのであります。
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