ちょっとこの写真のおっさんを見て下さい。インドに行くとこういう人をよく見かけるのです。「こういう人」とはどういう人なのかと言いますと、なんとものん気そうに見える人です。
でも、その人が何もしないでぶらぶらしているのかというとそうではなく、ちゃんと仕事をしているのです。で、仕事をしてるんだけど、日本的基準からすると、ちょっとそんなんでいいのかよ?と思うような人なのです。
たとえばこのおっさん、ただ単にコンクリートの塀に腰掛けているのではないのです。これでも勤務中なのです。
実はこのおっさんは、雑誌や新聞を売っている人なのです。しかも露店ではなく、木組みにブリキを張り、さらにその上にブルーシートを張った立派な屋根のある、常設店舗の店長さんなのです。
まあ確かに壁はありませんが、ここは南インドのコーチン(コチ)ですので、そんなものは不要なのです。
商品の方はと申しますと、天井から吊るされた10部ほどの雑誌や新聞の帯が3本だけです。つまり合計30部ばかりの商品を商っているわけです。
そして極めつけはこの勤務態度です。
道行く人に声を掛けるわけでもなく、塀に腰掛けて足をぶらぶらさせたりなんかしているわけですよ。ただひたすら「待ち」の体勢なのですね。
ねっ、のん気そうに思えませんか?
見れば額は禿げ上がり、残った髪も白くなり、齢五十といったところでしょうか。
きっと家に帰れば太った女房と子どもが5人ほどもいて、もしかしたら黒いやせた犬なんかも飼っているかもしれません。
とにかく、このおっさんはこの商品数とこの勤務態度で、そんな家族を養っているのです。
そりゃあ日本の暮らしとはぜんぜん違い、テレビもねえ、ラジオもねえ、インターネットはなにものだあ?という生活かもしれませんが、でもこうしてちゃんと生きているのです。しかも腕時計もして、シャツだってきれいなものを着ています。写真では素足ですが、地面にはちゃんと皮のサンダルが置いてあるのです。立派なもんじゃあないですか。
こうしたインドのおっさんを見るたびに、「人生」ってそれほど難しく考えることじゃないんじゃないのかなあと、考えさせられたりする次第なのであります。
Take it easy !
[dfads params=’groups=39&limit=1′]