これは焼きとうもろこし売りの屋台です。デリーあたりでは焼きとうもろこし屋は地べたに座り込んで商売をしているというのが多いのですが、この写真を撮ったハイダラバードでは屋台のものが一般的なようです。私が思うに、その違いは人口密度から来るのではないかと思います。当然屋台などないほうが小資本で商売を始められるわけですが、それも一箇所での営業が可能な大都会の人通りの多い場所などに限られるわけです。
ハイダラバードもアーンドラ・プラデシュ州の州都で、バンガロールに次ぐハイテク都市ではありますが、デリーに比べれば人口密度はかなり低いでしょう。そのためこの街で焼きとうもろこしを売るためには、屋台で場所を移動しながら売り歩かなければならないのでしょう。
さて、この屋台に載っているものはと申しますと、まず一番奥に皮をむく前のとうもろこしがたくさん並べてあります。ここで注目すべきは、すべてあちら側(お客さん側)に軸を向けて置いてあるということです。これは、お客さんが選びやすいようにという配慮からかと思います。なぜならインド人は、こうした焼きとうもろこしを買う時でさえも、品定めに余念がないのです。いきなりとうもろこしをむんずとつかみ、その手ごたえと見た目で判断し、「これを焼け」と命ずるのです。
そして手前にある平たい鉄鍋のようなものが、とうもろこしを焼く「コンロ」です。 下にレンガを置き、その上に鉄鍋を載せ、さらにその上で炭をおこします。ただそれだけです。
皮をむかれたとうもろこしは、その炭の上に直接置かれちりちりと焼かれます。インドのとうもろこしは実が小さいので、その程度の焼き方で充分なのです。
コンロの横に見える青いものはうちわです。
ただしこのうちわは、柄の部分を中心としてくるくる回るタイプのものです。こいつで風を送って火の調整をするわけですね。
さらにその向こう側にある小さな棒のようなものが見えるでしょうか。
それは木の取っ手がついたナイフなのですが、刃が少し内側に湾曲しています。これでとうもろこしの黒いコゲをがりがりとこそぎ落とすのです。
それから、この写真ではちょっと確認できませんが、焼けたとうもろこしにつける塩とライム(ニンブー)も載っています。
以上がインドの焼きとうもろこし屋の全資産となるわけですが、彼らはそれらを使って、とうもろこしの時季である夏場の炎天下、ひたすらお客さんが来るのを待っているのであります。
上の写真は、そんな彼らの「客待ち目線」で撮ったものです。
この写真を眺め、インドで焼きとうもろこし屋を開く際の、イメージトレーニングにして頂けましたら幸いです。
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