昨日バススタンドで調べたところ、ブジ行のバスは6時30分発とのことだったので、5時45分に宿を出た。
宿のロビーにはオーナーのおっさん自らが毛布にくるまり寝ていたが、近づくと目を覚ましたので部屋の鍵を手渡し礼を言う。
おっさんは起き上がりもせず、軽く片手を上げただけだった。
ジャムナガルはインドの中でも西の端に近い街なので、この時間でもまだまだ暗い。
街灯もほとんどないので、車に轢かれないよう懐中電灯を点けて歩く。
バススタンドはすでにたくさんの人がいたので安心するとともに、もしかしたらこの人たちと座席をめぐるライバルになるのではないかと危惧する。
インフォメーションでブジ行のバス乗り場を尋ねると、すぐ目の前の「3番」だった。ここならバスが入って来た時にインフォメーションの係員に確かめられるので助かる。
小さな売店があったので、ポップコーンとピーナッツを買う。
それぞれ10ルピー(約16円)だったが、ポケットの1ルピーや2ルピーのコインをかき集めて売店のじいさんに渡すと、じいさんはそれを確認しようともしないで受け取る。もちろんこちらはちゃんと数えて正しく渡してはいるが、その鷹揚さとこちらを信用しているということに嬉しくなる。
バスが入って来た。
人々はすばやくバスの入り口に殺到し、また出遅れた人は窓から荷物を突っ込みなんとか席を確保しようとしている。
グジャラート語の読めない私はそのバスがどこ行きかがわからず、インフォメーションの係員に確かめると、ブジ行ではないとのこと。あー、よかった。
その後もバスが入って来るたびに係員に尋ねるものだから、しまいには係員も部屋から出て来て私と一緒にバスの来るのを待っていてくれた。
ようやくブジ行のバスが入って来た。
幸いにも先ほどのバスのように人々が殺到することもなく、ゆったり落ち着いて乗り込むことができた。
こうした路線バスは座席の間隔が詰まっていて狭いのだが、後ろから二番目の非常口のある席は少し広くなっていて特等席である。
また左側の席は二人掛けなので、右側の三人席に比べて楽である。
なので私は後ろから二番目の左側の席を確保した。
乗客も徐々に増え、八分ほど埋まった状態でバスは定刻に発車した。
バスは街中のバススタンドで乗客を拾いながら進み、幹線道路に出るころにはほぼ満席となった。
7時過ぎ、朝日が見え始める。
思えば3年前はこの辺りで突然バスが動かなくなり、修理が終わるのをじっと待ったものだった。
また3年前はまだ道路の状態も悪く、あちこちで工事のために地面が掘り起こされており、そんな窪地のひとつを通る際にバスは後部をひどく地面にぶつけ、バンパーがめくれあがってしまったのだった。
しかし今ではしっかり道路が改修されたため、驚くほど早くモルビ(MORBI)のバススタンドに到着した。8時23分だった。
ちなみに前回は6時35分の出発で、途中故障もあり、モルビ到着は9時20分と一時間ほど遅かった。
20分ほどの休憩を終え、バスはモルビの街を抜けていく。
これからいよいよカッチ地方に向かう27号線へと入る。
カッチ湾の最深部では塩作りが盛んで、大規模な塩田が整然と並ぶ。
塩田はブルーに見えるものもあれば赤っぽく見えるものもある。塩分濃度の違いでそう見えるのだろうか。
27号線も片側三車線の立派な道路になっていて、バスは快調に走る。
10時40分、バチャウ(BHACHAU)到着。
ここでまた20分の休憩に入るが、外に出ているうちに席が取られてしまうのを恐れ、座ったまま出発を待つ。
11時45分、ガンディーダム(GANDHIDHAM)通過。
ここは材木の集積地のようで、あちこちに材木置き場があり、また材木を満載したトレーラなどもよく見かける。近くを通るときにはバスの中でも、ホームセンターの材木売り場のような匂いがする。
バスはここからブジに向け内陸へと入って行く。
11時56分、アディプール(ADIPUR)到着。
ここからブジまでは道路と線路が並行して走るが、何度か両者が交差することになる。
12時19分、アンジャール(ANJAR)到着。
ここはブジ手前の最後の大きな町らしく、この辺りでだいぶ乗客が少なくなる。
内陸に入って道が悪くなるが、それでもあちこちで改修工事が進められている。
ここでは跨線橋の建設が進められており、近い将来踏切待ちもなく陸送のスピードアップが実現するであろう。
車内はかなりガラガラで、辺りの風景ものどかなものとなり、いよいよブジも目の前である。
ブジは人口20万超の地方都市なので、街はそこそこ大きく賑やかである。
バススタンドはそんなブジの中心部にあり、州営バスならそこまで行けるのでとても便利である。
一方民営のバスでは街の外れで降ろされてしまうため、特に土地勘がないとオートリキシャなどのお世話になることになり面倒なのだ。
13時30分、ついにブジのバススタンドに到着した。
約300kmの道のりを7時間ジャストで走ったことになるが、前回の所要時間8時間半と比較すると、スピードアップの主な要因はジャムナガル‐モルビ間のマイナス1時間と、道が格段に良くなったモルビ-ガンディーダム間ということになるのだろう。そして今後ブジ近郊の道が整備され、さらに所要時間が縮まるのは自明の理なのである。
とにかく無事にブジまで(決してシャレではないぞよ)連れて来てくれたバスの乗務員に心からのお礼を言い、バスを降りたのであった。
*情報はすべて2016年11月時点のものです。
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